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感染症|結核

結核の基礎知識

長引く発熱や咳は結核かも?

2022年3月4日|1,088 VIEW

「結核」は結核菌に感染することで主に肺が炎症を起こす病気です。発熱や咳、痰(たん)など風邪によく似た症状が長引く特徴があります。悪化すると呼吸困難などで死亡するおそれもありますが、適切な治療を行えば治る病気です。それでは、結核について紹介していきます。

結核の特徴的な症状

初期症状

・咳
・痰
・発熱(微熱)
・倦怠感
・冷汗
・体重が落ちる
・食欲の低下
・寝汗

悪化した場合の症状

・痰に血が混ざる
・喀血(かっけつ:咳と共に血が吐き出されること)
・胸のあたりの痛み
・呼吸器不全


初期症状は風邪とよく似ており、区別するのは難しくなっています。 結核の場合は、症状が2週間以上長引いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返す特徴があります。これらの症状が2週間以上長引くようなら、医療機関を受診するようにしましょう。

結核が発病する原因は?結核菌に感染しても、必ず発病するわけではない。

結核は、空気中の結核菌を吸い込むことで感染し、体内(主に肺)で菌が増殖することで発病します。しかし、結核菌に感染した人みんなが発病するわけではありません。
「感染」と「発病」の違い、発病する確率など、このあと詳しく紹介していきます。

感染と発病の違い

感染とは、結核菌が体内に入り込み、定着した状態を指します。感染しただけでは、身体への悪影響は特になく、普段と変わらずに生活を送ることができます。

発病とは、体内で結核菌が増殖し、それが原因で何らかの症状が起こってしまったことを指します。発病すると、排菌(はいきん)といって、結核菌を咳や痰を出す際に自身の身体から結核菌を体外に放出するようになり、他の人へ結核菌を感染させてしまうおそれがでてきます。

発病する確率

日本では、結核菌に感染した人の中で実際に発病する確率は「10%〜20%」と言われており、感染した人のほとんどは発病することはありません。また、感染して半年〜2年の間に発病することが多いと言われていますが、中には免疫力や体力の低下をきっかけに感染から何十年後に発病する場合もあります。

結核菌の増殖箇所

日本では結核の約80%は「肺結核」といわれ、肺で結核菌が増殖することで発病するものです。ただし、稀に肺以外の箇所(リンパ節や腎臓、脳など)で結核菌が増殖し、身体へ悪影響を及ぼすことがあります。

結核は適切な治療を行うことで治せる病気です

明治時代から昭和時代初期にかけて「国民病」や「亡国病」と呼ばれ猛威をふるっていた結核。「結核は治らない」というイメージを持つ方もいるかと思いますが、現在は適切な治療を行うことで結核は治すことができます。
ただし、医療機関の受診が遅くなったり、医師からの治療について指示を守らなかったりすると、重症化や最悪死亡してしまうおそれもあるので、注意しましょう。

治療方法はほとんどの場合、薬物療法になります。重症化している方や、排菌により他の人への感染させてしまうおそれが高い方は、入院が必要になることもあります。
薬物療法の場合、半年以上に渡る治療になることが多く、決して簡単な治療とは言えません。しかし、ご自身のため、周りの人のため、医師の指示を守り適切な治療を続けることが 大切です。

また、結核の完治には早期診断も大事なポイントです。 2週間以上、咳や痰、発熱が続くことがあれば、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。


参考文献・出典など
■大塚製薬結核 - 古くて新しい病気
■公益財団法人結核予防会結核について

画像提供:PIXTA

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