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呼吸器|肺炎

肺炎の基礎知識

その症状、本当に風邪? いつの間にか悪化している「肺炎」の恐ろしさ

2022年3月28日|182 VIEW

「肺炎」とは、悪寒、高熱、咳(せき)、痰(たん)、倦怠感などの、風邪と似た症状の病気です。風邪の場合は鼻や喉などの上気道に炎症が起こるのに対して、「肺炎」の場合は肺の中にある肺胞という部位に炎症が起こります。風邪と見分けることは難しいですが、「風邪かも?」とそのままにしておくと呼吸困難をきたし、入院が必要になるほど重症化することもあります。特に高齢者は重症化することが多く、高齢者の3割が肺炎で亡くなっています。

肺炎の特徴的な症状は?

肺炎は風邪をひいたときとほぼ同じ症状が見られます。場合によっては胸の痛みや息切れのほか呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音がする症状「喘鳴(ぜんめい)」が現れることもあります。風邪であれば多くの場合は1週間程度で自然に治りますが、肺炎は重症化すると呼吸困難になり、入院、酸素吸入が必要になることも。高齢者になると発熱や咳などの症状が出ないことも多く、気づかないまま重症化してしまうケースが多々見られます。

肺炎の特徴

・1週間以上風邪と似た症状(高熱など)が続く
・黄色や緑色を帯びた痰が出る
・息苦しさや胸の痛みがある
・呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音がする

風邪との違い

風邪は鼻や喉などの上気道に炎症が起こるのに対して、肺炎は肺の中の肺胞という部位に炎症が起こります。上記に挙げた症状が見られる場合には、肺炎を疑い医療機関を受診した方が良いでしょう。

肺炎が起きてしまう要因とは?

肺炎の主な分類

肺炎は、病原性微生物(細菌、ウイルス、微生物など)が口や鼻から体内に入り肺に到達、肺胞が炎症を起こすことで発症します。発症の原因によって細かく分類されており、それぞれ症状に特徴があります。体力が低下して免疫力が落ちている場合にはより感染しやすく、特に糖尿病などの慢性疾患を持っている場合は注意が必要です。

・細菌性肺炎
主な原因:肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など
特徴:湿った咳、黄色や緑色を帯びた痰

・ウイルス性肺炎
主な原因:インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど
特徴:激しい咳、高熱、倦怠感

・非定型肺炎
主な原因:マイコプラズマ、クラミジアなど
特徴:長く続く乾いた咳、痰はあまり出ないことが多い

肺炎の主な感染経路

肺炎には主に3パターンの感染経路があります。

・飛沫感染
発症している人の咳に含まれる病原性微生物が、口や鼻から肺に入る

・接触感染
手すりやドアノブなどに付着した病原微生物が、自分の手を経由して口や鼻から肺に入る

・誤嚥
自分の唾液や飲食物が誤って気管に入ることで、それに付着した病原性微生物が肺に入る ※誤嚥によって起こる肺炎を「誤嚥性肺炎」と呼びます。飲み込む力や気管に入ったもの咳により地力で外に出す力の弱くなった高齢者に多く、誤嚥しやすい人はくり返し発症する場合もあります。

肺炎の治療や予防は?

治療

肺炎の治療は、原因となる病原性微生物を特定したうえで、それに効く抗菌薬を用いて行われます。症状によっては、発熱や咳、痰などを抑えるための対症療法を実施することもあります。若年層でほかの疾患を持っていない場合には通院治療を行う場合もありますが、症状が重い場合や小さな子供、高齢者などの場合には、入院が必要となることが多いです。呼吸が困難な場合には酸素吸入を行うほか、重症の場合には気管切開をして人工呼吸器を用いることもあります。

検査

原因微生物の特定には、胸部X線検査や血液検査のほか、必要に応じてCT検査、胸水検査、呼吸機能検査、嚥下(えんげ)検査、細菌培養検査などを行います。

予防

肺炎の予防には細菌やウイルスに対する一般的な感染予防が有効です。
・手洗い、うがいの徹底
・規則正しい生活
・肺炎球菌やインフルエンザウイルスに対するワクチンの接種

また、誤嚥防止のために食事の際は下記のポイントにも気を付けましょう
・ゆっくり食べる
・会話しながら食べない


肺炎は命に関わることもある重大な病気です。症状が風邪と似ていて気づきにくいため、少しでも普段の風邪と違うなと感じた場合には、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。特に高齢者は明確な症状が出にくく重症化しやすいため、本人や周囲が異変に気づいた段階で、軽視せずに医療機関を受診することが大切です。


参考文献・出典など
■公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット肺炎の種類と特徴
■病院検索ⅰタウン肺炎
■MSD製薬肺炎予防.jp

画像提供:PIXTA

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