甲状腺機能亢進症の基礎知識
甲状腺ホルモン分泌量が高まることで疲労感やだるさを引き起こす、甲状腺機能亢進症
「甲状腺機能亢進症」は、「バセドウ病」や「機能性甲状腺結節」など、甲状腺のホルモン分泌の高まりによって引き起こされる病気の総称です。20〜30代の女性に多く見られるのが特徴で、妊娠や出産を機に発症することもあります。今回は「甲状腺機能亢進症」について解説していきます。
甲状腺機能亢進症の特徴的な症状は?
甲状腺機能亢進症は一つの病気を指すものではなく、甲状腺に関わる病気の総称です。甲状腺は、喉仏のすぐ下にある臓器で、ホルモンを作る内分泌器官のひとつです。「亢進(こうしん)」は「病勢などが高ぶること、進むこと」などの意味を持ちます。つまり甲状腺機能亢進症は、甲状腺の機能が高くなりすぎている状態のことです。
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの量は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)で調整されています。どちらかが多ければどちらかが少なくなることで、バランスをとっています。甲状腺ホルモンは新陳代謝を盛んにして体の機能を活性化するために欠かせません。しかし、甲状腺のホルモン分泌機能が高まりすぎると、心拍数や血圧の上昇、不整脈、発汗、神経質、睡眠障害、体重減少などの症状が見られるようになります。代表的な病気がバセドウ病です。
<主な病気>
・バセドウ病
・機能性甲状腺結節(プランマー病)
・TSH産生(下垂体)腫瘍 など
バセドウ病
自己免疫疾患のひとつで、甲状腺を刺激する抗体が体内で作られることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。稀に目の後ろや周辺の組織が腫れることで、眼球が突出した状態になることもあります。バセドウ病を放置すると脈拍が速くなり、不整脈や心不全に至ることも。早めの治療を心がけましょう。
機能性甲状腺結節(プランマー病)
「結節」は「しこり」とも呼びます。甲状腺内にある結節が自律的に甲状腺ホルモンを作ることで、脳下垂体で甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌が抑制されます。そうして甲状腺の正常組織が機能しなくなる病気です。
TSH産生(下垂体)腫瘍
脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌されます。この下垂体の前葉に腫瘍ができて、TSHが過剰に分泌されるのがTSH産生(下垂体)腫瘍です。ここでの腫瘍は大半が良性です。
どれもホルモン分泌の増加に関わる病気なので症状は似ています。
<特徴的な症状>
・眼球の突出(バセドウ病のみ)
・脈拍数が多くて動悸がする
・だるさを感じる
・疲れやすくなる
・体重の減少
・過剰な発汗
・手足の震え
・甲状腺が腫れる など
甲状腺機能亢進症を引き起こす要因は?
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンやTSHの分泌量の異常によって引き起こされる病気です。不調をきたすプロセスは分かっていますが、バセドウ病をはじめとする甲状腺機能亢進症の発症メカニズムは解明されていません。
甲状腺機能亢進症を予防するための対応策は?
たばこを吸わないことや、ストレスを避ける生活を送ることなどが考えられます。しかし、適切な予防法が確立されていないのが現状です。甲状腺の働きを抑える薬を服用したり、腫れた甲状腺を切って小さくしたりするなど、さまざまな治療法があるので過剰に心配する必要はありません。異変を感じたら早めに診察を受けるようにしましょう。
参考文献・出典など
■全日本民医連甲状腺の病気 意外に多い、機能亢進症・機能低下症
画像提供:PIXTA
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