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胎児貧血|女性

胎児貧血の基礎知識

母体と胎児の血液型の不適合などにより起こる「胎児貧血」

2022年3月28日|676 VIEW

母体と胎児の血液型が不適合であったりすると、免疫機能によって胎児の赤血球を攻撃し、胎児が貧血になる場合があります。

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貧血がさまざまな体の不調を引き起こす

まず、貧血は赤血球に含まれるヘモグロビン量が少なくなった状態のことです。ヘモグロビンは血流にのって酸素を体の隅々にまで運ぶ働きを担っていて、ヘモグロビン量が低下するとさまざまな不調が現れるようになります。胎児貧血も同じように、胎児の赤血球が減少している状態です。

胎児は胎盤を介して母体から酸素を受け取って成長しますが、酸素が少ない環境に適応するため、胎児用のヘモグロビンを血液中に多く循環させ、必要な酸素を体に取り込むようにしています。また出生後は自分で呼吸するので、より高濃度の酸素を肺から取り込むことができます。そのため、胎児期よりも少ないヘモグロビン量で生活が可能です。

どうして胎児貧血が起こるのか

胎児貧血が起こる原因として、もっとも多いのが血液型不適合妊娠です。血液型不適合妊娠とは、母親と胎児の血液型が異なっている状態で、代表的なものにRh式血液型不適合妊娠やABO式血液型不適合妊娠などがあります。

赤血球の血液型にはABO式(A型、B型、O型、AB型)やRh式などがあります。Rh式血液型にはD、E 、Cなどいくつかの因子があり、このうちDの因子を持つ場合、Rhプラス、持たない場合をRhマイナスと呼びます。Rhマイナスの母体がRhプラスの胎児を妊娠するとRh式血液型不適合妊娠となります。
血液型不適合妊娠では、母体と胎児で血液型が異なっているため、自己免疫反応が起こり、母体の抗体が胎児の血球を攻撃。すると、胎児の赤血球が壊れてしまい(溶血)、胎児は貧血となります。

赤血球の減少によって早産につながるリスクが生まれ、出産後にもビリルビンという物質が血液中に増加して新生児に黄疸(新生児溶血性黄疸)が出ることがあります。また胎児水腫を引き起こす場合もあり、特にRh式血液型不適合妊娠が重症化すると胎児が死亡するリスクが高いです。

その他には、非常に稀ですが分娩前または分娩中に胎児の血液が母体の血液に流入することで発症する母児間輸血による胎児貧血や、妊娠中に母体がリンゴ病(ヒトパルボウイルスB19)に感染した場合に胎児感染を起こして発症する胎児貧血があります。

胎児貧血の初期症状と主な検査は?

胎児貧血の症状は一般に貧血が起きると血流速度が速くなることから、超音波検査(エコー)により胎児の脳内の血流速度(胎児中大脳動脈最高血流速度「MCA-PSV」)を測定しMCA-PSVが上昇していると胎児貧血の可能性があります。その他の初期症状としては、胎児に腹水や心嚢水の出現が見られた場合も胎児貧血の疑いがあります。胎児貧血の疑いが強い場合は胎児採血を行いますが、臍帯静脈から胎児の採血を行い、血液を調べます。

ただし胎児の採血を行うことはリスクを伴いますので、まずは先述した超音波検査で胎児貧血を推測し、胎児貧血の疑いが強い場合に胎児採血を行います。


参考文献・出典など
■日本胎児治療グループ胎児貧血
■日本新生児成育医学会胎児輸血実施マニュアル
■日本血液製剤機構Rh式血液型不適合妊娠とは?

画像提供:PIXTA

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