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がん|子宮頸がん

子宮頸がんの基礎知識

近年は、20代〜30代でも増えている子宮頸がん

2022年3月14日|5,773 VIEW

子宮頸がんは、子宮に生じるがんの内、約4割を占めています。
以前は40代以上が発がんのピークでしたが、近年は20代や30代での発症も増えており、患者・死亡者が増加しています。
今回は「子宮頸がん」について解説していきます。

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子宮頸がんの特徴的な症状は?

子宮頸がんは初期状態として、異形成という状態が何年か続いた後にがん化し、その期間は特に症状がなくおりものの異常や出血などもないといわれています。がんが進行するにつれて、月経時でないときに出血する・濃い茶色や膿のようなおりものが増える・水っぽいおりものがでる・粘液が多くでることがあります。 さらに進行が進むと、下腹部の痛み・血尿・血便が現れることがあります。

子宮頸がんが起こってしまう原因とは?

子宮頸がんは、その発生部位から女性特有がんであり、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものであるということが明らかになっています。 HPV自体はありふれたウイルスで、性交経験のある人のほとんどが感染していますが、大抵は治療の必要もなく2年以内に治ります。 しかし、このHPVウイルス自体がおよそ100種類あり、いくつかの種類に発がん性が認められていて、子宮頸がんの70%は特定の2種類のHPV感染が原因であることも知られています。

子宮頸がんが起こる原因というよりも、「若い人にも発生するようになった原因」ですが、性交渉の低年齢化が挙げられます。先に述べたようにHPV感染は性交で起こるため、性交渉の低年齢化が子宮頸がんの若年化と直接的な関係があります。 事実として、1980年代における20〜30代が子宮頸がんを患う人に比べて、2000年代の同年代で子宮頸がんを患う人は約3倍に増えたといわれています。

子宮頸がんの比較的初期段階で子宮摘出を迫られる?

子宮頸がんの病期はステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳに第分類され、それぞれに小分類がありますが、このうちステージⅠの時点で、子宮全摘を免れないことがあります。

ただ、近年では妊娠するための力を温存するための「妊孕性温存治療」という手法が確立されており、摘出しなくても子宮頸がんの治療を進めることができます。とはいえ、「妊孕性温存治療」を受けるには腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無などいくつかの条件があり、確実に選択できるとはいえません。

子宮摘出による妊娠・出産の可能性が失われる喪失感やQOLの低下を引き起こす可能性があり、早期発見・早期解決が重要であることが伺えます。

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子宮頸がんの予防・早期発見のために、おさえておくべきポイント

子宮頸がんにおいては、がん診断後の5年生存率はステージⅠで9〜10割、ステージⅡで7〜8割となっており、早期発見の場合比較的予後が良いことが知られています。 HPV感染については性交渉に伴うものであるため、ワクチンによる予防が最も大切です。また、定期的な検診等で早期発見することも重要です。

HPVワクチンを接種する

子宮頸がんで発がんする種類も特定されていることから、日本では予防接種法に基づいてHPVワクチンを受けることができます。
大抵は、中学1年生となる年度に接種を行います。

子宮頸がん検診をうける

子宮頸がん検診は、20歳以上の女性に対して、2年に1回受診することが推奨されています。
子宮頸部の細胞を採取して、異常がないかどうかを診断するものです。

検診の場所についてはお住まいの市区町村にお問い合わせしてご確認いただけます。


参考文献・出典など
■日本産婦人科学会子宮頸がん
■日本産婦人科学会子宮頸がんの妊孕性温存治療
■がん情報サービス子宮頸がんについて
■厚生労働省検疫所FORTH ヒトパピローマウイルスと子宮頸がんワクチン
■厚生労働省HPVワクチンに関するQ&A
■東京都保健局子宮頸がん検診

画像提供:PIXTA

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