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病院・クリニックからのトピックス
岡崎市民病院

【治療を学ぼう】嚥下機能改善手術と誤嚥防止手術

岡崎市民病院のCure

2020年12月28日|5,340 VIEW

嚥下機能改善手術・誤嚥防止手術とは?

リハビリテーションでは改善が見込めない嚥下障害に対して、
耳鼻咽喉科で行う外科的治療です。

飲み込む機能を改善する〈嚥下機能改善手術〉。


嚥下機能改善手術は、喉(のど)を温存しつつ、嚥下(飲み込む)機能を改善し、口から安全に食べられるようにする手術です。
たとえば、高齢になると、喉のゴックンをするタイミングがどうしても遅くなります。そういう場合は、手術で喉の骨の周辺を持ち上げることで、飲み込みに関わる働きを改善することができます。また、病気によっては、食べ物を食道の入り口まで持っていっても、筋肉に力が入らず、そこから先に食べ物が入っていかないことがあります。その場合は、食道の入り口の間口を少し広げて、食べ物を送りやすくします。こうした嚥下機能改善手術は、喉の構造をある程度保つことができるので、発声機能を守ることができます。この働きがもう少しあれば食べられるようになる、という場合に提案する治療法です。

誤嚥を完全に防ぐことを目的にした〈誤嚥防止手術〉。


誤嚥防止手術は、喉の構造を変えて、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を完全に防ぐ手術です。食べ物や唾液などの液体が気管から肺に入り、誤嚥性肺炎を繰り返してしまうケースや、自分の唾液を飲み込むだけで誤嚥してしまう場合は、リハビリテーションだけでは限界があります。そういう場合の選択肢として提案しています。
手術では誤嚥を防ぐために、手術で気管の上にある声を出す部分にアプローチして、気道と食道の経路を完全に分離させます。手術後、患者さまは誤嚥の苦しみや肺炎のリスクから解放され、安心して口から食べられるようになります。但し、喉頭の形を変えるため、発声機能を失ってしまいます。会話によるコミュニケーションができなくなることをご理解の上、手術を受けていただくことが必要です。

 

Doctor’s message

耳鼻咽喉科統括部長
都築秀典
喉の機能を正しく診断し、最善の治療法を提案しています。

高齢社会の進展に伴い、誤嚥性肺炎を繰り返す高齢患者さんが増えています。そういう方に対し、耳鼻咽喉科では、食べ物を食道に送り込む〈喉〉の機能に問題はないかを調べて、適切な治療に結びつけています。治療の中心は、飲み込む機能を改善させるリハビリテーションです。しかし、それだけでは改善が見込めない場合、上に紹介しているような外科的治療を選択することもできます。
当科では、患者さんのご希望を最優先して、手術を希望する方に安全で確実な手術を行っています。声を失うかもしれないことは重い決断になりますが、口から食べる楽しみを第一に考える患者さんには有効な治療法だと思います。

 

 

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