【病気のおはなし】大腿骨頚部骨折
西尾市民病院のCure
高齢女性に多い骨折。すぐに適切な治療をしないと、要介護状態になるリスクも。
01 加齢で骨がもろくなると骨折しやすくなります。
大腿骨は、脚のつけ根からひざあたりまである太ももの骨のこと。その先端にある骨頭(こっとう)の下の部分が折れてしまうのが、大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)。骨頭の少し下の部分が折れるのが、「大腿骨転子部骨折(だいたいこつてんしぶこっせつ)」といいます。
大腿骨の骨折は、高齢女性に多く発生します。その理由は、加齢により骨がもろくなるとともに、バランス感覚が衰え、転びやすくなるから。とくに、骨粗しょう症を患う方は注意が必要です。ちょっとした段差につまずいて転んだり、フローリングの床で滑って転倒するだけで骨折することもあります。
02 治療方法の基本は外科手術です。
大腿骨頚部が折れているかどうかを調べるには、レントゲンによる検査を行います。その上でCT検査やMRI検査などを行い、詳しく調べることもあります。
基本的な治療方法は、外科手術です。できるだけ早く手術をして、リハビリテーションに取り組み、寝たきりになるのを防ぎます。骨のずれが小さい場合は、骨を金属などの器具で固定して、折れた部分をくっつける「骨接合術」を行います。但し、骨が大きくずれてしまった場合、骨頭部に血流が行かなくなり、骨頭壊死を起こすリスクがあります。そのため骨頭を、金属などでできた人工骨頭に置き換える「人工骨頭置換術」を行います。さらに、股関節が著しく壊れてしまった場合、人工股関節に入れ替える「人工股関節置換術」を行います。
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早期の手術とリハビリテーションで生活を取り戻します。
大腿骨頚部骨折は、高齢女性に多く発生する骨折です。当院では年間約170例の手術を行い、地域連携パス(治療計画に沿って、地域の医療機関と継続的に診療を行う仕組み)を運用して、術後のリハビリテーションを地域の回復期リハビリテーション病院へ依頼しています。
治療のポイントは、いかに以前の生活を取り戻すか。大腿骨頚部を骨折すると、痛みで動けなくなります。そうなると活動範囲が狭くなり、生活の質が低下するとともに、認知症や慢性疾患が悪化することもあります。そのため当院では、高齢であってもできる限り早期に手術を行い、リハビリテーションに取り組むよう治療を進めています。また、骨折を防ぐには、日頃から転倒予防に配慮した住環境を整えることも大切です。
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