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病院・クリニックからのトピックス
岡崎市民病院

【治療を学ぼう】敗血症、敗血症性ショックの治療

岡崎市民病院のCure

2020年7月29日|5,992 VIEW

敗血症、敗血症性ショックの治療とは?

感染症が原因で、臓器障害が起こっている状態。
全身管理による迅速な治療が重要です。

全身状態を保ち、低血圧を防ぐ初期治療。

敗血症とは、感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされた状態をいいます。感染症とは、微生物(細菌やウイルス、カビ)などが体内に侵入することをいい、通常は、体が防衛反応を起こし、微生物を退治しようとします。しかしときには、防衛反応がコントロールできず、心臓や肺、腎臓などの臓器が障害を受けることがあります。これが敗血症です。敗血症によって、危険なレベルの低血圧となった状態を、敗血症性ショックといいます。敗血症性ショックに陥ると、内臓が機能不全となり、生命を脅かすこととなります。そのため、敗血症性ショックを念頭に置き、治療を行います。各種検査を行う一方で、点滴により水分、輸液を短時間で大量に投与する、また、昇圧剤を投与するなど、全身状態を保ち低血圧を防ぐ初期治療をただちに行っていきます。

感染症治療、合併症治療、そして、リハビリを実施。

初期治療に引き続き行うのは、感染症そのものの治療です。胸部X線やCT検査、血液検査、培養検査などにより、敗血症の原因となっている感染症を確認し、感染源によって抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などの抗生剤の点滴治療を実施します。併せて状態に応じ人工呼吸器管理、透析、血糖管理、また、敗血症の合併症である播種性血管内凝固症候群(小さな血栓が血管にでき、血管を詰まらせる状態)の治療を進めていきます。
こうした治療は日単位で行われますが、重症とはいえ安静にしているだけではありません。ゆっくりと動くことから始め、足腰が弱るのを防ぐ、身の回りのことを行うなど、段階的にリハビリテーションを開始し、以前の生活と同じ、あるいは可能な限りそれに近づくなど、社会復帰の準備に取り組んでいきます。

 

Doctor’s message

救急科統括部長
小林洋介
集中治療、全身管理を専門とする救急科が、迅速な治療を進めます。

死亡リスクが高い敗血症性ショックに対しては、集中治療による全身管理に基づいた迅速な治療が不可欠です。例えば、上記でご説明した抗生剤投与は、来院して1時間以内の実施が目標とされており、当院では、治療の初期段階は全身管理を専門とする救急科が、集中治療室、設備、スタッフを最大限に活用して診療を行っています。そして、感染症自体の治療に入ると、必要に応じて各臓器の専門の診療科と連携、協力して治療を進めていきます。
敗血症、敗血症性ショックを予防するには、敗血症に繋がる感染症を起こさないことです。とりわけ高齢者、乳幼児、慢性疾患を持つ方は、常日頃から体調管理、清潔保持に充分にご注意ください。

 

 

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