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更新日:2022年5月18日 265PV
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ

胸が痛い、息切れ。ひょっとすると心臓弁膜症の症状かもしれません。

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気になる症状

心臓弁膜症とは血液の逆流を防止する心臓弁が本来の機能を果たせなくなった状態です。
動悸や息切れなど「なんとなく苦しい、違和感がある」という自覚症状が出ますが、「年のせいかも?」ということで放置してしまっているケースも少なくありません。
いつの間にか日常生活で動かなくなり、動けば分かる体の変化に気付きにくくなっている場合もあります。
心臓弁膜症は重症化すると心不全を発症し、命に関わるリスクもある病気です。
できるだけ早く自分でセルフチェックをし、リスクを感じたらかかりつけ医に相談することをお勧めします。
今回は心臓弁膜症の症状を中心に、治療法や検査について解説します。

症状を自覚しづらいのが心臓弁膜症の怖いところ。知らぬ間に進行してしまうことも

心臓弁膜症はこれといった特定の症状が出るということがなく、「なんとなく疲れやすい」「動悸がする」「運動すると息切れがする」などの症状があっても、加齢によるものと思い込み受診をしない方も多いです。
また後述する症状が現れても病気であると自覚しにくい場合があります。

一口に心臓弁膜症といっても、「狭窄症」と「閉鎖不全症」の2種類あり、発症する弁の位置についても若干の症状差があります。

心臓内には大動脈弁・肺動脈弁・僧帽弁(そうぼうべん)・三尖弁という4つ弁があります。
心臓弁膜症のほとんどは大動脈弁と僧帽弁で起こるため、大動脈弁と僧帽弁における弁膜症の症状について解説します。

大動脈弁狭窄症

大動脈弁は、左心室から大動脈に血液を送る機能を担っています。
この大動脈弁の開きが悪くなると、心臓から送り出される血液が減ります。
特徴的な症状としては、動悸・息切れ・足のむくみ・失神などがあります。

僧帽弁狭窄症

僧帽弁は、左心房から左心室に血液を送る機能を担っています。
この僧帽弁の開きが悪くなると、左心室に血液がたまって血栓ができやすくなります。
特徴的な症状としては、息切れ・咳・動悸・体重減少などがありますが、特に咳は夜眠るときにひどくなることがあります。

大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁が正常に閉じないため、大動脈へ送られたはずの血液が左心室へ逆流します。
特徴的な症状としては、息切れ・呼吸困難などがあります。

僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁が正常に閉じないため、左心室を出て大動脈へ送られるはずの血液が左心房へ逆流します。
特徴的な症状は息切れ・動悸・呼吸困難・めまいなどがあります。

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心臓弁膜症の種類により原因は異なる

原因は心臓弁膜症の種類によりさまざまですが、「動脈硬化」「リウマチ熱」「先天性の原因」などが主な原因となります。

動脈硬化

動脈硬化は高血圧や高脂血症などが原因で血管が硬くなる病気です。
大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症では、動脈硬化により弁が硬くなり石灰化することで発症することが多いです。

リウマチ熱

リウマチ熱は、溶連菌という菌が引き起こす自己免疫疾患のことです。
僧帽弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症では、リウマチ熱の後遺症として発症することがあります。
ただしリウマチ熱自体が最近減ってきたため、リウマチ熱に起因する症例は減少傾向にあります。

先天性の原因

生まれつき弁に異常がある場合に心臓弁膜症になることがあります。
弁に穴が開いていたり、弁を支える組織の位置に異常があることで心臓弁膜症になります。
大動脈弁閉鎖不全症は本来3つあるはずの弁の数が異なる場合に発症することがあります。

その他で、膠原病や血管炎の炎症、マルファン症候群などが原因になることもあります。

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患者さんの状態によって、3種類の治療が検討可能

初期段階では薬での保存的治療を、症状が進行するとカテーテル治療や手術を行いますが、患者さんの状態によって治療法を決定します。

保存的治療

初期段階では、症状に合わせた薬で症状を抑え経過を観察をします。
ただし、弁そのものを治療するわけではないため、症状が進行すると薬での治療は難しくなります。

カテーテル治療

カテーテルと呼ばれる管を血管に入れる治療法で、手術のように開胸や心臓を止めることもないため、患者さんの体への負担が少なくなります。
代表的な治療法は、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁治療(TAVI:タビ)や、僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁接合不全修復システム(MitraClip:マイトラクリップ)があります。

手術

開胸して人工心肺装置を使い、人工弁に取り換える治療法です。 僧帽弁の場合は弁の機能を回復させる弁形成術を行い、大動脈弁の場合は人工弁に取り換える弁置換術を行うことが多いです。

「年齢のせい」にしがちな心臓弁膜症ですが、心不全などに重症化する前に早めの治療を開始することが重要です。

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問診や聴診に加え心臓エコー検査で診断を

心臓弁膜症は基本的な問診・視診・触診・聴診に加え、心臓エコー検査で診断します。
心臓エコー検査とは、エコー(超音波)を使用して心臓や弁の動きを画像で見ることができる検査で、弁の状態や狭窄・逆流の程度などがわかります。
また、健康診断で心雑音があるといわれて詳しい検査をしたら心臓弁膜症だったという事例もあります。
診断後は治療方針を決めるために、心電図検査・心臓CT検査・胸部X線検査(レントゲン)・心血管造影法などの検査も行います。

早期の治療にはまずは検査をすることが必要ですので、気になる症状がみられたら、早急にかかりつけ医に相談をしましょう。

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心臓弁膜症についての総まとめ

「階段を上る時に動悸や息切れがする」「同年代の人よりも疲れやすい」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。

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画像提供:PIXTA
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