胃がんは初期症状が現れにくく、進行によって症状が現れる
胃がんの初期段階では自覚症状がない場合も多く、がんの進行により症状が出現しますが、人によってはがんが進行しても症状が現れない場合があります。
胃がんが進行するといくつかの症状が現れますが、胃炎や胃潰瘍など胃の不調で発生する症状と同じであることが多いため注意が必要です。
腹痛、みぞおちの痛み
最も代表的な症状で、早期がんの場合はおよそ3割、進行がんの場合ではおよそ5割の方が腹痛があると言われています。
胃がんによる腹痛では、みぞおちやへその上あたりが痛くなったり、食事の前後に腹部の鈍痛を感じたりすることがあります。
人によっては胃もたれに近い程度であることもあり、「もやもやする感じ」「違和感がある」と訴える方もいます。
食欲不振・吐き気・痩せ
薬やストレス、睡眠不足などによって食欲不振に陥るとき、同時に胃の中がムカムカしていたり、吐き気を催すことはないでしょうか?
それと同じように、胃に異常があると脳で異常を認識し食欲不振・吐き気となって症状が現れます。
胃がんやその他の病気による食欲不振により、食事の量が減ってしまい、結果として痩せを生じさせることがあります。
悪心・胸やけ
胃がんにより消化管の内腔が狭くなることで食べ物が通りにくくなったり胃が重く感じたりするようになります。
その結果として嘔吐・悪心・胸やけが起こることがあります。
病的な痩せ(るいそう)
がん細胞が進行して大きくなってくると、食事の栄養を奪い取るだけでなく、身体の筋肉や骨を分解して栄養を吸収しようとします。
そのため、食べる量は変わらないのに、なぜか体重が減っていくという場合においては、がん細胞に栄養を奪われている可能性があります。
貧血・倦怠感
食事の栄養をがん細胞に奪われたり、出血による脱力から慢性的な栄養不足に陥ることもあり、栄養が行き届いていないことで倦怠感を示すこともあります。 もちろん、胃がんによって出血があり、その状態が長く続くと貧血に陥ることがあります。
食べにくさ
胃の上部にがん細胞が発生すると、食べ物が通りづらくなるため、飲み込みに違和感がある、というようになります。
また胃の内部でがん細胞が進行すると、胃の伸縮機能が弱まってしまい、消化の機能が衰えてしまいます。
そうなると、前に食べた食事が胃に残っているためすぐにお腹いっぱいになってしまうことがあります。
黒い便
がん細胞の進行で出血すると、タール状の黒い便が出ることがあります。
胃がんの最大の原因はピロリ菌、次いで食生活や喫煙
胃がんは日本・韓国・中国など東アジアに多い病気で、日本では40歳以上で発症することが多く、特に男性のがん死亡数では、肺がんに続き第2位の原因になっています。
胃がんになる原因は食生活や嗜好品・ストレスなどがありますが、最大の原因はピロリ菌です。
ピロリ菌
胃の中で生きられる悪玉菌で、正式名称はヘリコバクター・ピロリ菌といいます。
不衛生な食べ物や水の中に元々は存在していて、衛生環境の悪かった1950年以前生まれの方や、ピロリ菌感染者が乳幼児へ口移しで食べさせることなどが原因でピロリ菌に感染し胃の中に住み着きます。
ピロリ菌に感染している全員が胃がんになるわけではありませんが、ピロリ菌に感染していない方と比較すると胃がんになるリスクが約5倍高いと言われています。
食生活
特に塩蔵の食品(いくら・たらこ・塩辛など)をよく食べる方は、ほとんど食べない方と比較すると胃がんになるリスクが約2倍高いと言われています。
他にも不摂生な食生活や過度な飲酒で胃がんのリスクが高まることがあります。
喫煙
喫煙者は非喫煙者と比較すると胃がんになるリスクが約2倍高いと言われています。
特に「分化型胃がん」と呼ばれる、がん細胞がまとまりながら増加するタイプの胃がんでは、吸う本数が増えると胃がんの発症率も段階的に増えると言われています。
進行度により変わる胃がんの治療法
内視鏡治療
基本的にがん細胞の転移が見られない早期胃がんで行われる治療法で、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と「内視鏡的粘膜下層剥離(ESD)」という2種類があります。
口から胃カメラを入れてモニターで確認しながら患部を焼き切るまたは剥ぎ取ります。
外科手術に比較して体への負担は少ないです。
外科手術
がん細胞が周囲のリンパ節に転移している場合などには、外科手術で胃を切り取ります。
お腹を切開する開腹手術と、お腹に小さな穴を開けて専用器具で手術を行う腹腔鏡下手術があり、胃だけではなく周囲のリンパ節も切除します。
薬による治療
手術ができない場合や、がん細胞が再発した場合、手術後の再発予防のために抗がん剤を使います。
また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も組み合わせて使います。
まずは問診と胃の内視鏡検査やX線検査を
胃がんの疑いがある場合、問診に加えて胃の内視鏡検査やX線検査を行います。進行度を判断するため、CT検査・MRI検査・PET検査、超音波検査などを行います。
内視鏡検査
いわゆる「胃カメラ」と呼ばれる検査で、直径5mm〜10mm程度の細い管を口または鼻から入れ、胃及びその周辺を直接見てがんが疑われる部分や、その範囲と深さを調べます。
X線検査
いわゆるレントゲン検査のことで、バリウムと発泡剤を飲んで、胃の形や病変の位置を確認します。
CT検査・MRI検査・PET検査・超音波検査
病変の拡がりやがん細胞の転移の有無を知るためなどに行います。
胃がんは自覚症状が見られない場合も多く、気付いたら進行していたということも少なくありません。
そのため、早期の発見にはまずは検査をすることが重要ですので、気になる症状がみられたら、早急にかかりつけ医に相談をしましょう。
また、市区町村で行っている胃がん検診も定期的に受診し、早期発見につなげましょう。
胃がんについての総まとめ
「腹痛やみぞおちが痛む」「最近、食欲がない」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。