皮膚常在酵母菌であるマラセチアの関与が病因の一つ
マラセチア属真菌
誰の皮膚にも付着している常在酵母菌で、皮脂を栄養源として増殖するカビ(真菌)の一種です。
マラセチア属真菌は現在10種類知られています。本来は人に対して無害なマラセチアですが、脂漏性皮膚炎の原因の一つとなります。
皮脂の分泌量の増加や成分の変化
マラセチア属真菌の栄養となる皮脂の分泌量が増えることも悪化要因の一つです。
皮脂が増える要因として、発汗、ストレスや寝不足、脂っぽい食物の食べ過ぎ、ビタミン代謝、ホルモンバランスの乱れなどが挙げられます。
症状は皮脂の多い部分のかさかさした紅斑(赤み)
脂漏性皮膚炎の特徴的な症状はカサカサした紅斑や頭皮などのフケですが、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など、症状が似ている他の皮膚病もあります。
症状が改善しなければ、皮膚科の受診が必要です。
代表的な症状
・患部の皮膚が赤くなり、その周辺で皮膚が剥がれたり、黄色から銀白色のような色味をしたフケが出る
・かゆみを伴う場合もある
・症状が悪化すると、皮膚の剥がれた部分から体液が漏れ、かさぶたのようなものができる
症状が出やすい部位
髪の生え際や鼻周りといった顔面など皮脂が多く分泌される部位や、わきや脚の付け根などの皮膚同士が擦れやすい部位で症状が出やすいです。
ステロイド外用薬・抗真菌外用剤、時にはかゆみに対して抗ヒスタミン薬で治療し、生活習慣の改善が必要な場合も
脂漏性皮膚炎の治療は、薬での治療と生活習慣の改善の主に2つの方法があります。
薬での治療
炎症を抑えるステロイド外用薬とマラセチア属真菌の増殖を抑える抗真菌外用薬、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬の3種類を使用します。
頭部など塗りにくい部位用にシャンプーやローションなどの外用剤もあります。
生活習慣の改善
脂漏性皮膚炎の症状を悪化させる原因として、洗髪・洗顔の仕方やストレス、睡眠不足など自身の生活習慣が関係していることがあります。
従って、規則正しい生活や食事を心掛け、体を清潔にするなど適切なスキンケアをすることが結果的に治療や予防に繋がります。
問診・視診後に、他の病気と区別するために真菌検査などを行う
脂漏性皮膚炎の検査ではまず「問診」と「視診」を行いますが、患部の症状を見るだけでは乾癬・アトピー性皮膚炎・頭部白癬などと区別することは難しいこともあります。
そのため、真菌の有無を確かめる顕微鏡による真菌検査などを用いたり、場合によっては皮膚生検をすることもあります。
成人型の脂漏性皮膚炎は慢性化する場合が多く、一度症状が悪化してしまうと、症状が長期に及ぶことがありますので、早期に皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎についての総まとめ
「頭皮に赤みがある」「フケが増えた」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。