中日新聞 地域医療ソーシャルNEWS
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
更新日:2022年5月16日 39PV
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ

体質と環境が原因で、赤みやかさぶたができる尋常性乾癬

発信者
  • 中日新聞LINKED
監修者
  • 準備中

気になる症状

乾癬(かんせん)とは皮膚の炎症を伴う慢性の皮膚疾患で、乾癬のほとんどは尋常性乾癬です。
はっきりとした原因は解明されていませんが、乾癬になりやすい体質の人に感染症、ストレスや肥満、糖尿病などの環境要因が加わることで発症すると考えられています。
他の皮膚疾患と初期症状が似ていますが、気づかずに放置しておくと徐々に悪化し炎症が拡がってしまいますので、早い段階で乾癬であることに気づくことが重要です。
今回は尋常性乾癬の原因を中心に、治療法や検査について解説します。

乾癬になりやすい体質と環境要因が原因で発症

乾癬が発生する原因について、確実なものは未だ解明されていませんが、さまざまな原因が重なって発症するといわれています。

体質

乾癬になりやすい体質など遺伝的素因があることがわかっており、それに加え何らかの環境要因が加わることで発症するといわれています。
ただし、親が乾癬を患っていても子どもが必ずしも発症するわけではなく、欧米では遺伝により20〜40%の割合で発症しますが、日本での発症頻度は5%程度ですので、必要以上に心配することはありません。

環境要因

外的要因として、外傷、感染症、ストレス、喫煙、飲酒、衣服の刺激、乾燥など、内的要因として妊娠・出産、肥満、糖尿病などのメタボリックな背景があるといわれています。

免疫系の異常

最近の研究で免疫機能の異常が関与していることが分かってきました。
何らかの理由でその機能に異常をきたすと、異物ではなく自分自身を攻撃し炎症を起こすようになります(自己免疫反応)。
つまり、免疫に異常をきたしやすい体質も乾癬発症につながると考えられています。

目次

特徴的な症状は、皮膚の赤みが徐々に盛り上がること

乾癬の症状は、皮膚の赤み(紅斑)、皮膚の盛り上がり(浸潤・肥厚)、銀白色のフケのようなもの(鱗屑)が付着しはがれ落ちるなどで、頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、おしり、太もも、すねなど外部からの刺激を受けやすい部位でよくみられます。

皮膚の赤み(紅斑)

特徴的な症状で、最初は小さな赤い発疹が発生し、次第に大きくなっていき赤く盛り上がっていきます。(浸潤・肥厚)

鱗屑

鱗屑は、紅斑と同時に生じる銀白色のかさぶたで、特に頭皮や生え際に発症することが多く、フケのようにポロポロと剥がれ落ちます。(落屑:らくせつ)

爪の変形

40〜80%近くの方は爪にも症状が現れるといわれ、爪が先端から浮き上がって白く見えたり、爪の表面がボコボコして穴があいたように見えたりします。

小さな紅斑が徐々に拡がっていき、鱗屑ができて大量に剥がれ落ちるような症状がみられたら、早めに皮膚科の専門医へ相談しましょう。

目次

治療法は塗り薬や飲み薬に加えて、光線療法や注射なども

治療方法は「塗り薬(外用療法)」、「飲み薬(内服療法)」、「光線療法(紫外線照射)」、「注射または点滴(生物学的製剤)」の4種類があり、症状に合わせて治療法を決定します。

塗り薬(外用療法)

白血球の活動や血管の拡張を抑え、結果として皮膚炎を抑制するステロイド外用薬と、皮膚の細胞が過剰に作られることを抑え、正常な肌を生成するビタミンD3外用薬の2つを、単独で使用するか2つを組み合わせて使います。

飲み薬(内服療法)

皮膚細胞が過剰に作られることを抑えるビタミンA誘導体、過剰に働いている免疫反応を抑える免疫抑制薬、免疫細胞や皮膚の炎症を抑え正常化させるPDE4阻害薬の3種類を使います。

光線療法(紫外線照射)

光線とは紫外線のことで、紫外線には免疫反応を抑える作用があります。
そのため、患部に紫外線をあてることで自己免疫疾患の原因を取り除きます。
ただし、日焼けや色素沈着の原因となることもあるため、かかりつけ医と相談の上進めていくのが良いでしょう。

注射または点滴(生物学的製剤)

塗り薬や飲み薬などで治療効果がみられない方への治療方法で、生物学的製剤を注射または点滴で投与することで、患部に大量にあり炎症を引き起こすたんぱく質(サイトカイン)の働きを直接抑制します。
ただし、この治療法は日本皮膚科学会が承認した医療機関のみで行えますので注意しましょう。

なかなか治りにくい病気ですが、早めに治療を開始することで症状を改善させることができます。

目次

問診や視診を行い、場合によっては皮膚生検も

多くの場合は、問診や視診、触診を行い皮膚の状態を調べることで、ほぼ正確な診断ができます。
ただし診断が難しい場合は、患部の皮膚を一部切り取ってその状態を顕微鏡で詳しく確認する皮膚生検も行います。

尋常性乾癬は、頭皮のかゆみや落屑、爪の変形、スーツの肩のふけ、名刺交換の際の手病変などによる影響から、社会活動の質の深刻な低下をきたすことも知られています。
そのため、早期に治療を始めることが重要ですので、気になる症状がみられたら早めに皮膚科を受診しましょう。

目次

尋常性乾癬についての総まとめ

「皮膚の赤みが盛り上がってきた」「銀白色のかさぶたが剥がれる」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。

目次
画像提供:PIXTA
>