乾癬になりやすい体質と環境要因が原因で発症
乾癬が発生する原因について、確実なものは未だ解明されていませんが、さまざまな原因が重なって発症するといわれています。
体質
乾癬になりやすい体質など遺伝的素因があることがわかっており、それに加え何らかの環境要因が加わることで発症するといわれています。
ただし、親が乾癬を患っていても子どもが必ずしも発症するわけではなく、日本での発症頻度は5%程度と言われています。
環境要因
外的要因として、外傷、感染症、ストレス、喫煙、飲酒、衣服の刺激、乾燥など、内的要因として妊娠・出産、肥満、糖尿病などのメタボリックな背景があるといわれています。
免疫系の異常
外的因子などを背景として、皮膚の中で複雑な免疫反応がおこることで、赤みを伴うカサカサとした紅斑を生じることがわかってきています。
特徴的な症状は、皮膚の赤みが徐々に盛り上がること
乾癬の症状は、皮膚の赤み(紅斑)、皮膚の盛り上がり(浸潤・肥厚)、銀白色のフケのようなもの(鱗屑)が付着しはがれ落ちるなどで、頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざ、おしり、太もも、すねなど外部からの刺激を受けやすい部位でよくみられます。
皮膚の赤み(紅斑)
特徴的な症状で、最初は小さな赤い発疹が発生し、次第に大きくなっていき赤く盛り上がっていきます。(浸潤・肥厚)
鱗屑
鱗屑は、紅斑と同時に生じる銀白色のかさぶたで、特に頭皮や生え際に発症することが多く、フケのようにポロポロと剥がれ落ちます。(落屑:らくせつ)
爪の変形
40〜80%近くの方は爪にも症状が現れるといわれ、爪が先端から浮き上がって白く見えたり、爪の表面がボコボコして穴があいたように見えたりします。
小さな紅斑が徐々に拡がっていき、鱗屑ができて大量に剥がれ落ちるような症状がみられたら、早めに皮膚科の専門医へ相談しましょう。
治療法は塗り薬や飲み薬に加えて、光線療法や注射なども
治療方法は「塗り薬(外用療法)」、「飲み薬(内服療法)」、「光線療法(紫外線照射)」、「注射または点滴(生物学的製剤)」の4種類があり、症状・重症度に合わせて治療法を決定します。
塗り薬(外用療法)
おもにステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を使用しますが、2種の配合剤もあります。基剤も軟膏・ゲル・フォーム剤と塗る場所の使用感に応じて選択ができます。
飲み薬(内服療法)
ビタミンA誘導体や免疫抑制薬そしてPDE4阻害剤などを主に使います。免疫抑制薬には時に高血圧や腎機能障害などが、またPDE4阻害剤に関しても下痢などの消化器症状をきたすことがありますが、医師の指導のもと安全に長期に使用されているケースが多いです。
光線療法(紫外線照射)
光線とは紫外線のことで、NBUVBという波長を使用することが多いです。
紫外線を使用することで皮膚の炎症を抑えることができますが、定期的な通院が必要です。
注射または点滴(生物学的製剤)
中等症や重症の症例で、塗り薬や飲み薬などで治療効果がみられない方への治療方法です。現在は11種類の治療薬がありますが、モノクローナル抗体のほかJAK阻害剤などを、皮膚症状だけではなく関節症状の程度に応じて選択します。
投与間隔もそれぞれ異なり、自己注射をすることができる製剤もありますので、働きながらでも治療を継続しやすいメリットもあります。
ただし、生物学的製剤はすべての施設で使用できるわけではなく、日本皮膚科学会が承認した医療機関のみで行えます。
適正に安全に使用するためには、定期的な採血やレントゲン(CTなど)が必要となります。
また、薬剤費は高額ですが高額療養費制度を利用することができます。
所得に応じて自己負担額が変わるため、治療を開始する前に自己負担額をあらかじめ知っておくことも大切です。
早めに治療を開始することで症状を改善させることができるので、まずは皮膚科専門医に相談をしましょう。
問診や視診を行い、場合によっては皮膚生検も
多くの場合は、問診や視診、触診を行い皮膚の状態を調べることで、ほぼ正確な診断ができます。
ただし診断が難しい場合は、患部の皮膚を一部切り取ってその状態を顕微鏡で詳しく確認する皮膚生検も行います。
尋常性乾癬は、頭皮のかゆみや落屑、爪の変形、スーツの肩のふけ、名刺交換の際の手病変などによる影響から、社会活動の質の深刻な低下をきたすことも知られています。
そのため、早期に治療を始めることが重要ですので、気になる症状がみられたら早めに皮膚科を受診しましょう。
尋常性乾癬についての総まとめ
「皮膚の赤みが盛り上がってきた」「銀白色のかさぶたが剥がれる」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。