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更新日:2023年10月3日 4,530PV
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心筋梗塞|専門医監修の症状とセルフチェック

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監修者

気になる症状

最近、胸やみぞおち、首、背中に繰り返し痛みが出たり、動悸や脈拍が気になることはありませんか?もしかしたら心筋梗塞のリスクが隠れているかもしれません。

今回は、専門医が心筋梗塞の基礎知識をわかりやすく解説します。

心筋梗塞とは

心筋梗塞は、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈の血管が詰まってしまい、心臓の筋肉(心筋)への血流が途絶え、心筋が壊死していく恐ろしい疾患です。心筋梗塞の多くが突然発症する急性心筋梗塞です。日本人の死亡原因第2位である心臓病の中でも、約20%がこの急性心筋梗塞によるものといわれています。

主な症状は、15分以上も続く激しい胸の痛みや締め付けられる痛みで、その痛みは「心臓を刺されたような痛み」や「胸をえぐられるような痛み」と表現する人もいるほど苦しいものです。また、痛む部位は胸だけに限らず、顎や首、背中、肩、腕などに痛みが広がっていくこともあります。

一方で、高齢者や糖尿病の方の中には、痛みの症状が無く心筋梗塞が進行する、無痛性心筋梗塞を発症する方もいます。無痛だからといって軽症なわけではありません。気づかぬうちに症状が進行して、突然発作を起こし一刻を争う状態で病院に運ばれてくる方もいらっしゃいます。

しかし、突然発症する急性心筋梗塞は発症の1~2か月前から前兆となる症状が見られることがあり、この段階で検知し適切に対処すれば助かる確率が大きく上がります。また、発症時も初期症状を見極め、早く治療を開始出来ればできるほど助かる確率を高めることができます。

したがって、前兆や発症時の初期症状について理解を深め、こうした症状を見逃さずに早期発見・早期治療を心がけることと、定期的な健診を受けて発症リスクに未然に対処することが、心筋梗塞においては非常に重要です。

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目次

早期発見の重要性とそのためにできること

前章でもご説明したように、心筋梗塞は早期発見・早期治療が非常に重要な疾患です。この章では、早期発見の重要性と早期発見するためにはどうすればいいのかについて、解説していきます。

心筋梗塞は前兆や発症時の初期症状を見逃さず、早期に適切な治療を開始すれば助けることができます。
一方で、急性心筋梗塞で亡くなる方の多くは、病院に到着する前に亡くなっているというデータがあります。また、治療できたとしても対処が遅れれば、その分重い後遺症が残ってしまう可能性が高まります。

こうした事態をできる限り避けるために、下記で具体的に「心筋梗塞になりやすい人」「急性心筋梗塞の前兆」「急性心筋梗塞の初期症状」について解説します。こちらの内容を参考にして、予防や早期発見・早期治療に努めていきましょう。

心筋梗塞になりやすい人

高血圧は血管を硬くしてしまうため、心臓に血流を送る冠動脈を詰まりやすくしてしまうためです。 急性心筋梗塞の約半数は前兆なく突然発作を起こすといわれています。したがって、発症を未然に防ぐのも非常に重要となってきます。次に挙げる特徴に当てはまる方は、心筋梗塞のリスクが高いことが分かっていますので、定期的な健診や生活習慣の改善によって、心筋梗塞の予防に努めましょう。

・動脈硬化
・高血圧
・肥満
・糖尿病
・高脂血症
・高尿酸血症
・ストレスを強く感じている方
・喫煙家
・ご家族に心筋梗塞病歴がある方
・男性で50歳以上、女性で60歳以上の方
・激務で極度に疲労している方

また、心筋梗塞は急激な温度変化によって引き起こされやすくなるとも考えられております。上記に当てはまる方は特に、寒い日の入浴時などに十分注意しましょう。

急性心筋梗塞の前兆

心筋梗塞を発症する方の約半数が、発症前1〜2か月の間に下記症状を経験していると言われています。似た症状が少しでも気になった方は、心筋梗塞のリスクが高まっている恐れがありますので、すぐに病院で検査を受けるようにしましょう。

・数分程度で治まる胸の痛みが繰り返される
・胸の圧迫感
・胸焼け
・背中、胃、腕、肩、歯、あごの痛み
・左肩や左腕の違和感(血行不良によるもの)
・階段や坂道を上る時に胸痛などの症状が起こりやすい
・不整脈
・急な激しい動悸
・脈が異常に速くなる
・脈が飛ぶような感じがする

急性心筋梗塞の初期症状

急性心筋梗塞は発症後6時間以内に治療すれば助かる確率が大幅に上がります。したがって、下記初期症状が疑わしい場合は、迷わず直ちに救急車を呼ぶようにしましょう。

・突然の胸の激しい痛みが15分以上続く
・胸痛と共に、不安感や動悸、息切れ、めまい、脱力感がする
・顔面蒼白、急な冷や汗
・急な吐き気、おう吐

ここまで、早期発見や予防のための情報をお伝えしましたが、こうした症状を自覚し、リスクを未然に防ぐのをご自身だけで行うのは難しいかもしれません。また、発症すると、ご自身では救急車を呼ぶことさえできないこともあります。

したがって、ご自身だけでなく、周りの方々もこうした心筋梗塞についての理解を深め、体調を気に掛けてあげるなどして、早期発見・早期治療、予防に努めるようにすることが理想的です。特に、50歳以上の男性、60歳以上の女性は年1回の健康診断を必ず受けたり、生活改善が必要な方は専門のスタッフ(保健師や管理栄養士など)からサポートを受けるようにしましょう。

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心筋梗塞の重篤化リスク

ここまで心筋梗塞は早期発見し適切な対処を行うことが重要ということを解説してきましたが、もし発見が遅れ、心筋梗塞が重篤化した場合はどうなってしまうのでしょうか。

心筋梗塞の発見が遅れ、症状が進行してしまうと最悪の場合は死に至ります。一方で、命が助かったとしても、心筋梗塞によって壊死した心筋は二度と元には戻りません。多くの場合は心臓の機能が低下し、重い後遺症が残ってしまうことがあります。
心筋梗塞の治療後に特に注意すべき2つのリスクについて下記で解説します。

1つ目が「心筋梗塞の再発リスク」です。心筋梗塞を発症したことがある方は、発症したことがない方に比べて、再発するリスクが高いことが分かっています。これは、心臓の機能が低下していることや、心筋梗塞の主たる原因である動脈硬化が進んでいることが要因として挙げられます。

2つめは「合併症のリスク」です。心筋梗塞以外の心臓疾患を発症するリスクも高まっています。代表的なものだと、不整脈や狭心症がこれにあたりますが、脆くなっている心臓に負担をかけすぎてしまうと、心臓破裂を引き起こしてしまうこともあります。

加えて、こうした心筋梗塞やそれ以外の合併症の発症によって、心臓の機能はさらに低下していき、最悪の場合は心不全(心臓の機能が低下し、必要な血液を身体に送り出せなくなる状態)になってしまうこともあります。

このように、心筋梗塞は発見が遅れて症状が重くなると、治療後の社会復帰が困難になってしまったり、最悪の場合死に至ることもあります。 そうならないためにも、早期発見・早期治療、予防に努めるようにしましょう。

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心筋梗塞の検査方法と治療方法

この章では、心筋梗塞の検査方法と治療方法についてご紹介します。

検査方法

心筋梗塞の疑いがある場合は、心臓カテーテル検査を行います。これによって、心臓の血管が詰まっているところを見つけ出します。

治療方法

心臓の血管で詰まっているところが見つかった場合は、詰まっている部分に対してバルーンで血管を拡張させるPTCA(経皮的冠動脈形成術)や、ステントという器具を使って拡張させた部位を支える治療を行うことが多くあります。また、冠動脈バイパス手術によって、詰まった箇所を迂回して新しく血流を通す場合もあります。

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心筋梗塞についての総まとめ

今回は心筋梗塞について解説してきました。最後に重要なポイントを下記にまとめます。

胸や首、背中に繰り返し痛みが出たり、動悸や脈拍が気になる方は心筋梗塞の恐れがあるかもしれません。
少しでも心当たりのある方は、まずはセルフチェックをしてみましょう。

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画像提供:PIXTA