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更新日:2023年3月5日 1,345PV
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心筋梗塞|専門医監修の解説とセルフチェック

気になる症状

胸や背中への強い痛みや圧迫感、息苦しさ、冷や汗などの症状が見られる場合は、心筋梗塞の可能性があります。

特に20分以上にわたる胸の強い痛みは、心筋梗塞の典型的な症状です。命に関わる危険な病気ですので、上記のような症状を感じたら、すぐに救急車をよびましょう。

日常的に気になる症状がみられたらできるだけ早く自分でセルフチェックをし、リスクを感じたら専門の医療機関を受診することをお勧めします。

今回は心筋梗塞の症状を中心に、治療や検査を解説します。

20分以上にわたる胸を締めつけられるような痛みが特徴

心筋梗塞の典型的な症状は強烈な胸の痛みや圧迫感が突然起こることです。
それ以外にも下記のような症状がみられます。

●冷や汗がひどくなり、意識を失う
●吐き気
●20分以上発作が続く
●安静時や薬を使用しても発作が改善されない

随伴症状として首や背中に痛みを感じることもあります。
心筋梗塞と同じような症状に狭心症がありますが、多くの場合は狭心症よりも痛みは強烈です。

特に発作が20分以上継続した場合は急性心筋梗塞である可能性が高いため、すぐに救急車をよびましょう。
また、仮に時間が経って痛みがおさまったとしても自分で大丈夫と判断せず、かかりつけ医に相談しましょう。
心筋梗塞を発症した場合、心臓の筋肉(心筋)が壊死するのですが、壊死した心筋は再生しないため、早期の対応がとても重要です。
なお、まれにですが症状がない方や症状が軽い方もいます。

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動脈硬化が原因で引き起こされる心筋梗塞

心筋梗塞は、血管壁が硬くなる動脈硬化が原因で引き起こされることがほとんどです。
私たちの心臓は血液を全身に送り出すポンプの働きをしていて、心筋に必要な酸素や栄養は心臓を取り囲む冠動脈と呼ばれる血管が供給しています。
この冠動脈が動脈硬化などで血栓ができて完全に詰まってしまうと心筋に血液が行き届かなくなり、心筋が壊死(えし)してしまった状態を心筋梗塞といいます。
動脈硬化は生活習慣病のひとつなので、日頃の食生活や運動を見直すことで予防につながります。

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代表的な治療法はカテーテル治療とバイパス手術

心筋梗塞は時間の経過と共に心不全などの合併症を引き起こす危険があるため早めの治療が重要で、特に急性心筋梗塞の場合はすぐにカテーテル治療を行います。

カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション)

手首や脚の動脈からカテーテル(細い管)を挿入し、狭くなったり詰まったりしている冠動脈に「ステント」と呼ばれる金属製の網状の筒を留置して動脈を広げ、血液の流れを改善する治療法です。
局所麻酔で行われるため体への負担は少なくすみます。

バイパス手術(冠動脈バイパス手術)

病状が比較的落ち着いている症例に選択されることがあります。
詰まってしまった血管に代わる迂回路(バイパス)を作り血液を送るようにする治療法で、カテーテル治療が困難で複雑な病変の場合に行われます。

また、発症から12時間以内で血栓によって心筋梗塞が起こっている場合に、血栓溶解薬を点滴で投与して血栓を溶かす血栓溶解療法を行う場合がありますが、副作用や合併症のリスクがあるため、カテーテル治療が困難な場合に適用されることがほとんどです。

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心電図検査や血液検査、心臓カテーテル検査などで早期発見を

心筋梗塞では心電図検査や血液検査、心臓カテーテル検査などの画像検査を行います。

心電図検査

心電図は心臓の電気的活動をグラフにしたもので、心筋梗塞の典型的な波形などから血栓の場所や範囲を予測します。

血液検査

心筋梗塞ではクレアチンフォスフォキナーゼ・トロポニンといった特殊な酵素が血液中に溢れる出るため、血液検査でその有無を調べます。

心臓超音波検査(心エコー)

超音波(エコー)を用いて心臓の形や血液が流れる様子などを確認する検査で、体への負担が少なくすみます。

心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査)

X線を用いた検査で、手首や足の付け根などからカテーテルを挿入し、冠動脈内部に造影剤を入れて撮影する検査で、冠動脈の詰まり具合などを判断します。

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心筋梗塞についての総まとめ

日本人の死因の上位を占める生活習慣病のひとつで、冠動脈の動脈硬化が進行し、突然の胸痛で救急搬送されることもある恐ろしい病気です。
心臓に20分以上の痛みや圧迫感、息苦しさを感じたら、ただちに医療機関を受診しましょう。
早く発見して対処すれば、大事に至らなかったケースも少なくありません。

「階段を上る時に胸が締め付けられるような痛みがある」「胸以外に背中や肩も痛む」など気になる症状がみられたら、まずはセルフチェックをしてみましょう。

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画像提供:PIXTA