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更新日:2023年10月3日 2,361PV
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乳がん|専門医監修の症状とセルフチェック

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監修者

気になる症状

約10人に1人の女性が乳がんに罹患する時代です。でも早期発見すれば治る可能性が高い病気です。乳がんを早く見つけるための方法や、診断・治療方法などを学びましょう。

乳がんとは?

乳がんとは、乳房の「乳腺」と呼ばれる組織に生じるがんを指し、数あるがんの種類のうち、日本人女性が発がんする確率が最も高いがんになります。

乳腺は、母乳の通り道である「乳管」と母乳を作る「小葉」から成っており、大部分の乳がんは、乳管の一番末梢部である終末乳管-小葉単位と呼ばれる部位で発生します。日本医師会によると、日本人女性の11人に1人もの方が乳がんになると言われています。乳がんの主な症状は、乳房に”しこり”ができる、乳房の皮膚にくぼみができる、乳頭から分泌液、乳頭・乳輪部のただれ、乳房の形や大きさが変化する、などが挙げられます。

しかし、初期の乳がんは症状がほとんどなく、自身が乳がんだと自覚できるケースは多くありませんので、これらの代表的な症状が現れている場合は、乳がんがある程度進行している可能性があります。

また、乳がんの進行度(ステージ)は、0~Ⅳ期の5つに分けられており、「しこりの大きさ」、「リンパ節への転移」、「遠隔臓器への転移」の3つの観点から、どのステージに位置するのか判断されます。

ステージ0

しこり、リンパ節への広がり、他臓器の転移、いずれも無く、がん細胞が乳管・小葉の外へ広がっていない状態。非浸潤がんとも呼ばれ、完治の可能性が高い。

ステージⅠ

しこりが2cm以下で、リンパ節・他臓器への転移無し。

ステージⅡ

しこりが2cm〜5cm・脇の下のリンパ節転移なし、または、2㎝以下で、脇の下のリンパ節転移がある。

ステージⅢ

しこりが5cm以上、または脇の下のリンパ節と胸骨付近のリンパ節へ転移している、がんが皮膚まで及んでいるなど。

ステージⅣ

遠隔臓器へ転移している。

ステージが高くなればなるほど、完治の可能性や生存率が低くなってしまうため、早期発見・早期対処が重要となってきます。

初期症状がほとんど見られないケースが多い乳がんですが、早期発見・早期対処するために、どのようなことに気をつければいいのでしょうか? 次の章では、早期発見・早期対処の重要性とそのために知っておくべきことを解説します。

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目次

早期発見・早期治療の重要性とそのために知っておくべきこと

乳がんは、発見が遅れ、進行が進んでしまっていると、完治が難しくなり、最悪の場合は命を落としてしまう恐れもあります。その一方で、早期発見ができ、その後迅速に適切な治療を行うことができれば、完治できる可能性も高くなります。

一般的に、がんの完治とは治療後5年生存することを条件としています。がんは、治療や手術によってがん細胞をすべて除去してから5年以内に再発がなければ、その後は再発もなく良好な経過をたどるケースが多いためです。国立がん研究センターが発表している乳がんのステージ別の5年生存率は、ステージ0が100.0%、ステージⅠが99.8%、ステージⅡが95.5%、ステージⅢが80.7%、ステージⅣ:38.7%となっており、発見が早ければ早いほど、5年生存(完治)の可能性が高くなることを示しています。(ただし、乳がんは、5年経過した後も再発することがあり、少なくとも10年間は経過観察を行っています。)

前述したように乳がんは自覚症状がないケースが多く、早期発見が比較的難しい疾患です。この後「乳がんになりやすいと言われている人の特徴」と「乳がんの初期症状」をご紹介しますので、少しでも当てはまるものがあれば検診を受けたり、専門医に相談するなどして、早期発見ができるようにしましょう。

乳がんになりやすい人の特徴

・30代後半以降の方(20代でも発がんの恐れはあります。)
・血縁者に乳がんになった方がいる方
・月経の期間が長い方
 -初潮が11歳以下
 -閉経が55歳以上
 -出産経験がない、少ない
 -授乳経験がない、授乳期間が短い
・喫煙、飲酒をしている方
・ホルモン補充療法の経験がある方

乳がんの初期症状

・乳房のしこり
・乳頭から分泌液が出る
・乳房の皮膚がただれたり、湿疹ができる
・乳房の一部が盛り上がったり、くぼみができる

最も多く見られる初期症状は「しこり」です。月に1回は自身で乳房を触診し、しこりができていないか確認するようにしましょう。乳がんのしこりの特徴として、「痛みがない」、「硬い」、「動かない」という点が挙げられます。しかし、必ずしもそうであるとは言えませんので、しこりがある場合には専門医に相談するようにしましょう。
また、「痛みがないこと」も重要な症状と言うことができます。痛みがないにもかかわらず、上記のような初期症状があるのであれば、真っ先に乳がんを疑い、速やかに医療機関を受診しましょう。

ここまで早期発見のポイントをご説明してきましたが、こうしたことにいくら気を付けていても、確実に乳がんを早期発見できるという保障はありません。確実に早期発見・早期対処をするためには、定期的に検診を受け、異変があればすぐに専門医に相談することが大切です。特に、「乳がんになりやすい人の特徴」に当てはまる方は、少なくとも1年に1回は検診を受けるようにしてください。検診を行うことで症状のない初期に乳がんが見つかることもあります。

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乳がんが重症化してしまうと

乳がんは、重症化してしまった場合はどうなってしまうのでしょうか。乳がんが重症化してしまった場合のリスクについて、いくつか具体例をご紹介します。

がんの転移

乳がんは、血液やリンパの流れによって他の部位(遠隔臓器)へ転移するリスクがあります。転移しやすい場所として、リンパ節、胸膜、胸壁、骨、脳、肺、肝臓が挙げられます。転移してしまうと、転移した場所に応じて痛みや臓器障害、手足の麻痺など、様々な症状が生じる恐れがあります。

緩和治療

乳がんで遠隔転移や再発をきたした場合には、抗癌剤やホルモン治療剤、放射線治療などが比較的効果を示しますが、基本的には完治することがなく、治療効果が薄れてくると症状が悪化し、生命に危険が及ぶこととなります。苦痛症状が強くなってきた場合には、緩和治療と言って、苦痛を和らげる治療を並行して行っていきます。

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乳がんの検査方法と治療方法

この章では、乳がんの検査方法と治療方法についてご紹介します。

検査方法

乳がんの検査には目的別に次の(1)~(3)の検査方法がります。

(1)早期発見のために行う検査
・触診、視診
・マンモグラフィ検査(乳房に特化したX線検査)
・超音波検査

(2)乳がんの診断を確定するための検査
・細胞診(患部の細胞や分泌液を採取し、がん細胞の有無を調べる検査)
・組織診(患部の一部をけずりとるなどして、がん細胞の有無を調べる検査)

(3)乳がんの広がりや転移を調べる検査
・CT検査
・MRI検査

治療方法

手術
がんの進行や広がり具合に応じて乳房の部分切除や全切除を行います。また、乳腺全摘後の方に対して、乳房再建手術が保険診療で行えるようになりました。

放射線治療
手術の後、再発を防止するために行われます。

ホルモン療法
乳がんの進行に関係があるとされている女性ホルモンの働きを抑え、再発の防止や症状の進行を抑制します。

化学療法
抗がん剤の服用によってがん細胞を攻撃し、再発防止に有効ですが、脱毛や吐き気などの副作用のリスクがあります。

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乳がんについての総まとめ

今回は乳がんについて解説してきました。最後に重要なポイントを下記にまとめます。

乳房にしこりや湿疹、乳頭から分泌液が出るなどの症状がある方は乳がんのリスクがあるかもしれません。
少しでも心当たりのある方は、まずはセルフチェックをしてみましょう。

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画像提供:PIXTA