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更新日:2023年10月3日 1,453PV
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ

介護の困りごと・トイレ動作|医療職監修のポイントとセルフチェック

発信者
  • 中日新聞LINKED
監修者
  • 濱島 富男
  • みよし市民病院 リハビリテーション課 作業療法士

気になる症状

ズボンやパンツの上げ下げが上手くできなかったり、前よりトイレに時間がかかったりしていませんか?もしかしたらトイレ動作の介助、ケアが必要なサインかもしれません。

今回は、医療スタッフが、療養生活中や在宅介護におけるトイレ動作のポイントをお伝えします。

トイレ動作とは?

トイレ動作とは、「ズボンを下げる」、「トイレットペーパーを取る」、「拭く」、「ズボンを上げる」などの排泄における一連の動作のことです。トイレ動作に関して最近何か気になる点があれば、この一連の流れのどこかに問題があることが考えられます。

トイレ動作のリスクとして立ち座りの際の転倒が挙げられます。これは身体的なダメージですが、トイレ動作では排泄に失敗してしまって受ける精神的なダメージへのケアも必要です。例えば失禁などをしてしまい、水分を摂取しにくくなるなどのさらなる問題が生じるケースもあります。

次章では身体的、精神的に起こるリスクについて解説します。

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目次

トイレ動作の介助でおさえておきたいポイント

日常生活に欠かすことのできないトイレ動作にはリスクもあります。この章では押さえておきたいポイントを紹介します。

QOLの低下

適切な介助と環境がなく、自分の思うように排泄ができないと、便器の外に排泄してしまったり、失禁してしまうことがあります。こういった行為自体を精神的に苦痛と感じてしまう被介助者の方も少なくありません。中には、精神的苦痛からトイレを必要以上に我慢するようになり、膀胱炎などの疾患を患ってしまうケースもあります。また、トイレ動作に必要な筋肉が使われなくなると、体力の低下や免疫力の低下にも繋がり、病気になりやすい体になってしまうリスクがあります。

転倒

トイレ動作の際に介助がないと、転倒するリスクが高くなります。高齢者の場合、骨折しやすく、一度骨折してしまうと骨がくっつくまでに長い時間を要したり、最悪の場合には寝たきりの生活を余儀なくされる可能性もあります。また、頭を強く打ってしまい、取り返しのつかない事態になるおそれもあります。

脱水症状

トイレに不自由を感じるようになると、トイレの回数を減らそうと食事や水分の摂取を控える方がいます。しかし、これは脱水症状を引き起こし、最悪の場合は脳梗塞や心筋梗塞にまで発展し、命を落とすことになりかねません。

このトイレ動作を安全に、安心しておこなえるよう環境づくりを行うことが、長く在宅で生活を送るポイントになります。次の章で具体的に人的サポートと環境づくりについて解説します。

目次

適切な介助と環境の重要性

トイレ動作の人的サポート

失禁を防ぐサポート
トイレに行く時間を決めることで失禁を減らすことができます。アラーム等を設定し決まった時間にトイレに行く習慣をつけましょう。またどうしても間に合わない場合はパンツの中にパッドを入れたり、紙パンツを使用することも検討します。

トイレ動作で下衣の着脱や立位保持のサポート
立ってズボンの上げ下げをする他にも、座ったままお尻を交互に浮かせ少しずつズボンを上げ下げする方法、壁にもたれ掛かりながら行うなど、安全に行う方法があります。また環境を調整してもうまくいかない場合は、できない部分を手伝います。前方や横から被介助者のわきの下に手を入れて支え、立位を保持しますが、すべて介助するのではなく、本人の力で行えることはできるだけ本人にやってもらうことも大切です。

トイレ動作を楽にする工夫を
自分でトイレットペーパーを取ることができない場合は、トイレットペーパーを事前に切っておいてセットします。また、排泄物をうまく拭きとれない課題の場合、ウォシュレット機能を使用する、水に流せるおしり拭きを使用することで清潔な状態にしていきます。

環境整備でのサポート

手すりやトイレフレームの設置
立ち座りをしやすくするためひじ掛けのついたトイレ用フレームの設置や、住宅改修によりトイレの壁に手すりを付けたりして、起居動作を円滑に行えるようにします。

便座の変更
便座の高さを高くするだけで立ち上がりやすくなることもあります。和式便器にかぶせることにより洋式便器のような高さにすることのできる簡易洋式便座というものもあります。

住宅改修により使いやすいトイレに
ドアノブや扉を変更することにより使い勝手のよいトイレに変更します。開き戸を引き戸や中折れ戸に変更することでドアを開けやすくすることができます。
またトイレまでの移動をスムーズにするために手すりを設置する方法もあります。

また、トイレまで自力で行くことができなかったり、時間がかかる場合もあります。その場合は部屋の位置をトイレに近い場所に変更することで、移動距離を短くすると負担が軽減されます。また夜間だけポータブルトイレを使用する場合もあります。

目次

トイレ動作介助に役立つ介護用品

この章ではトイレ動作を安全に安心して行えることを目的にした介護用品を紹介します。

転倒を防ぐ

トイレ用フレーム
便座からの立ち上がりをスムーズに行えるようひじ掛けのついたフレームです。

手すり
住宅改修で設置もできますが、レンタルで設置可能な手すりもあります。

補高便座
便座からのスムーズな立ち座りを目的にし、座面を高くする便座です。和式便器にかぶせることにより洋式便器のような高さにすることのできる簡易洋式便座というものもあります。

トイレの場所を変える

ポータブルトイレ
部屋に置くことのできるトイレです。便座の中にバケツが入っていて、事前にバケツに水を溜め、排泄物をバケツにたまる構造になっています。

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目次

トイレ動作の総まとめ

ここまでトイレ動作の介助に関する注意点や対策を述べてきましたが、改めてポイントを整理します。

誰もが住み慣れた家で生活したいという思いはありますが、それがリスクになる場合もあります。気をつけたいポイントをしり、安心した生活を送れるようにしましょう。

気になる方はセルフチェックをして、かかりつけ医やお世話になっているケアマネージャーへ相談してください。

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