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更新日:2023年6月27日 617PV
病院の〈知識〉を生活者の〈知恵〉へ

介護の困りごと・更衣|医療職監修のポイントとセルフチェック

発信者
  • 中日新聞LINKED
監修者
  • 大沼 華江
  • みよし市民病院 リハビリテーション課 作業療法士

気になる症状

服のボタンの扱いに手間取るようになったり、以前に比べて着替えに時間がかかったりしていませんか?もしかしたら更衣について考えるタイミングかもしれません。

今回は、医療スタッフが更衣動作のポイントをお伝えします。

更衣の介助とは?

更衣は清潔に保ったり、起床後や入浴後に行うことで生活のリズムを整えます。また自分の着たい服を着てオシャレをすることはQOLの向上にもつながります。

一方で、加齢や障害により関節の可動範囲が狭くなったり、指先の細かい作業ができなくることもあります。そうすると、以前は当たり前のように自分でできた更衣をできなくなってしまった失望感や、人前で裸になることで恥ずかしさを感じることもあり、被介助者の自尊心が傷つくこともあります。また尿や便の失禁をしている場合には、介助者に「余計な手間をかけさせてしまった」と感じてしまうこともあります。そのような感情をもつこともあるため、自分でできることは自分でできるようにしながら、必要なことをサポートしていきましょう。

つぎの章では、更衣介助のポイントをお伝えします。

目次

更衣介助のおさえておきたいポイント

更衣は裸になる時間もあり被介助者にとっては精神的に負担になる場合もありますので、準備と更衣の手順をおさえていき円滑にすすめていきます。

準備

1.服・下着の準備
前開きのシャツ、伸縮性のある素材の衣服や、ボタンの代わりにマジックテープを使用している服など「着替えやすい服」を準備します。また肌着の下着のほか、おむつやパットを使用している方は準備しておきましょう。

2.タオルやブランケットなどの準備
家族でも裸を見られることに抵抗のある方もいますので、タオルやブランケットを準備しましょう。

3.塗り薬や貼り薬の準備
医師から塗り薬や貼り薬が処方されている場合は予め準備しておきます。

4.室温の調整
季節や着替えをする場所によっては、寒い思いをする場合もありますので、適切な温度(23~25度)にすることを心がけましょう。 これらの事前準備をしておき、更衣中に慌てることがないようにしておきましょう。

更衣の手順

更衣介助のポイントとして「脱ぐ順番、着る順番」があります。麻痺や拘縮など動きに制限のある側を「患側(かんそく)」、問題なく動く方を「健側(けんそく)」と呼びますが、脱ぐときは動きやすい健側から、着るときは動かしにくい患側から行いましょう。

また更衣動作は腕を回したりしてバランスを崩すこともありますので、背もたれ付きや肘掛け付きの椅子やベッドに座って行うようにしましょう。

上衣の手順(ボタンシャツの場合)

脱衣
1.ボタンを外す
2.健側の衣服の肩から外し、腕を抜く
3.患側の衣服の肩を外して、腕を抜く

着衣
1.患側から腕を通し、上着を羽織るようにする
2.健側の腕を通す
3.ボタンをしめる

下衣の手順(ズボンの場合)

脱衣
1.膝近くまでズボンを下ろす
2.健側の足を抜く
3.患側の足を抜く

着衣
1.患側の足をズボンに通す
2.健側の足にズボンを通す
3.ズボンを引き上げる

仕上げに、上衣、下衣のしわやねじれを直します。

更衣をサポートする際に絶対に行っていけないのは、無理に服に腕や足を通そうとして引っ張らないことです。麻痺や拘縮のある関節は脱臼をしやすくなっているため、無理矢理着替えをさせないようにしましょう。

目次

適切な介助と環境の重要性

この章では、更衣介助でできる人的サポートと環境整備について解説します。

<更衣の人的サポート>

前章で述べたような手順で介助は行いますが、残っている能力を維持するためにもできることは本人に任せながら、必要に応じて手助けしましょう。ただ、介助者がいることで本人一人では気づけないことも気づきます。

皮膚のチェック
加齢によりスキンケアが必要になってきます。裸になるタイミングでかゆみや赤みなどがないかどうかをチェックしましょう。赤みがある場合、床ずれの可能性もあります。その場合は医療スタッフやケアマネージャーに相談しましょう。

たるみやねじれを直す
 ベッドに寝ている時間が長い場合、衣服のたるみやねじれが皮膚に負担をかけ、床ずれの原因になることもあります。

<環境整備の方法>

室温の管理
 23~25くらいに調整し、血圧の変化によるめまいなどを防ぎます。

手すりや椅子の設置
腕を動かすことによりバランスを崩してしまうケースもあります。立ったまま着替えたいようならば立位保持できるように手すりを設置したり、安定して着替えたい場合は椅子を置くなどして転倒を防ぎます。

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更衣介助に役立つ介護用品

最近では介護しやすいことを前提にした服や、一人でも服を着替えるのをサポートする自助具などもあります。

着心地の良い服を選ぶ

上衣は、前開きタイプ、かぶりタイプなど、自分が更衣しやすいものを選びましょう。ボタンの扱いが難しい場合は、ファスナーや、マジックテープタイプの服もあります。下衣は、ファスナーとボタンがあるタイプが難しい場合は、ウエストがゴムになっているものを選ぶようにしましょう。またジーンズなどの固い素材やボタンのあるものは皮膚への負担もあるため注意しましょう。

着替えをサポートする自助具

加齢や障害により、足先まで手を伸ばすことができない・前かがみの姿勢が取りにくい方が一人で靴下をはくことができるように開発された自助具(ソックスエイド)、ボタンを付け外しするのが難しい場合はボタンエイドという自助具もあります。

目次

更衣介助の総まとめ

ここまで更衣介助に関する注意点や対策を述べてきましたが、改めてポイントを整理します。

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