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5疾病・5事業|5疾病
糖尿病

糖尿病——③合併症の治療と予防

2021年11月18日|6 VIEW

厚生労働省が重点的に医療提供体制づくりを進めるテーマとして、5疾病・5事業があります。今回はそのなかで「糖尿病」を取り上げ、合併症の治療と予防の取り組みについて紹介します。
◎5疾病・5事業については、こちらをごらんください。

糖尿病の合併症の種類と治療。

糖尿病の合併症には、急性と慢性があります。急性合併症ではケトアシドーシスや高血糖高浸透圧昏睡などがあり、これらを発症した場合、ただちに、輸液、インスリン投与などの治療が必要です。
慢性合併症では、網膜症、腎症、神経障害などがあります。網膜症の治療は、失明予防を目的とした光凝固法(レーザー治療)などがあります。腎症、神経障害の治療は、血糖・血圧コントロール、生活習慣の改善が主体となります。腎不全に陥った場合、透析療法を行います。
これらの慢性合併症を早期発見し、専門的な治療につなげるには、内科、眼科などの専門医がいる医療機関や人工透析を実施する医療機関が緊密に連携することが必要です。国ではこうした専門治療を行う医療機関を全国に整備し、連携した治療を行うよう促しています。

糖尿病性腎症重症化予防プログラムの実践。

糖尿病の合併症のなかで、とくに注目されるのが腎症です。重症化すると腎不全に陥り、人工透析が必要となり、患者のQOLを著しく低下させるだけでなく、医療経済的にも社会の負担が増します。現在、人工透析導入患者のうち4割以上が糖尿病の慢性合併症として腎症を発症した人たちです。
国では「健康21(第2次)」において、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少などの数値目標に掲げ、さまざまな取り組みを進めています。しかし、2018年の中間評価では、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数は横ばい傾向で、年間約16,000人(※)を超える状況が続いており、さらなる取り組みの強化が必要とされています。
こうした背景から、2016年、日本医師会、日本糖尿病対策推進会議、厚生労働省は「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定」を締結し、「糖尿病性腎症重症予防プログラム」を策定しました。このプログラムは、糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関の未受診者、受診中断者に対し、関係機関から適切な受診勧奨、保健指導を行い、治療に結びつけることをめざしています。そして、重症化しやすい人の人工透析への移行を防ぐことを目的としています。

  • 日本透析医学会「我が国の慢性透析療法の現況」(2017年末)

岐阜県における糖尿病性腎症重症化予防の取り組み。

岐阜県では、岐阜大学に慢性腎臓病医療連携講座を開設(2015〜2017年)。かかりつけ医と腎臓専門医との連携による質の高い医療提供体制を構築。地域連携クリティカルパスの普及と定着、人材育成、基礎研究、県民への啓発などに取り組みました。
岐阜県における慢性透析患者数(人口100万人当たり)は、2,388人で、全国平均2,592人を下回っていますが、増加傾向にあります。一方、糖尿病性腎症が原因で新規に透析を導入する患者数は271人で増加傾向にあり、全国を上回っています。(データは2015年 日本透析医学会統計調査委員会より)
こうしたことから、岐阜県の健康増進計画である「第3次ヘルスプランぎふ21」では、糖尿病腎症が原因で新規に透析を導入する患者数を、2023年には「254人以下」にする目標を掲げ、かかりつけ医と専門医の連携により、重症化予防の強化に取り組んでいます。


参考文献・出典など
■厚生労働省「第7次医療計画について」
■厚生労働省「第7次医療計画における5疾病・5事業 (がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患、救急、災害、へき地、周産期、小児)及び在宅医療の医療体制」
■厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」
■岐阜県「第7期保健医療計画」
■岐阜県「第3次ヘルスプランぎふ21(岐阜県健康増進計画)」

画像提供:PIXTA

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