糖尿病——②重症化予防と治療
厚生労働省が重点的に医療提供体制づくりを進めるテーマとして、5疾病・5事業があります。今回はそのなかで「糖尿病」を取り上げ、重症化予防と治療の取り組みについて紹介します。
◎5疾病・5事業については、こちらをごらんください。
I型糖尿病とII型糖尿病の治療。
糖尿病を主な傷病として継続的に医療を受けている患者数は、全国で約317万人にのぼります(厚生労働省 患者調査 2014年)。
糖尿病の治療法は、I型糖尿病とII型糖尿病で異なります。I型糖尿病は直ちにインスリン治療を行うのが一般的です。一方、II型糖尿病では、2〜3カ月の食事療法、運動療法を行った上で、目標の血糖コントロールが達成できない場合、経口血糖降下薬やインスリン製剤を用いた薬物療法を開始します。
国では、血糖コントロールがうまくいかない場合、教育入院などの集中的な治療を実施する医療機関を全国に整備。そこでは、診療ガイドラインに則り、各専門職のチームによる、食事療法、運動療法、薬物療法などを組み合わせた教育入院などの集中的な治療を実施しています。
岐阜県における糖尿病の専門治療体制。
岐阜県では、全圏域に、血糖コントロールの十分でない患者を治療する「準基幹的医療機関」が整備されています。準基幹的医療機関とは、糖尿病療養を担当する医師が配置され、糖尿病教育、血糖コントロール、合併症検査の実施が可能な施設です。
また、糖尿病昏睡などの急性合併症は、患者のQOLや生命予後を悪化させるため、発症した場合には、専門医のいる医療機関に速やかに移送し、輸液やインスリン投与などの治療を行う必要があります。岐阜県では、すべての圏域において、急性合併症に対応できる「基幹的医療機関」が配置されています。
基幹的医療機関は常勤の糖尿病専門医がおり、糖尿病教室、教育入院、栄養指導を行うとともに、各診療科との院内連携がとれ、合併症の専門治療も含めた総合的な対応、24時間対応が可能な施設です。
■岐阜医療圏における準基幹的医療機関(2017年12月1日)
- 医療法人社団誠広会平野総合病院
- みどり病院
- 山内ホスピタル
- 笠松病院
- 医療法人社団誠広会岐阜中央病院
- 岩砂病院・岩砂マタニティ
- 医療法人社団幸紀会安江病院
- 河村病院
- 公立学校共済組合東海中央病院
- 各務原リハビリテーション病院
- 岐阜県厚生農業協同組合連合会岐北厚生病院
■岐阜医療圏における基幹的医療機関(2017年12月1日)
- 国立大学法人岐阜大学医学部附属病院(全圏域)
- 岐阜県総合医療センター
- 岐阜市民病院
- 岐阜赤十字病院
- 朝日大学歯学部附属村上記念病院
- 羽島市民病院
- 松波総合病院
岐阜県における糖尿病治療の方向性と課題は?
岐阜県では、予防から治療までの一貫した糖尿病対策を推進し、県民の誰もが身近なdpz で症状に応じた適切な治療が受けられる医療連携体制の強化を進めています。
課題の一つは、継続的な治療が十分に行われていないことです。糖尿病の重症化予防のためには、継続的な治療が必要です。また、血糖コントロールや高血圧の治療など内科的治療を続けることにより、糖尿病の慢性合併症の発症を予防でき、発症後であっても、進展を遅らせることが期待できます。
今のところ、岐阜県内の糖尿病継続治療者は66.1%(2016年)にとどまりますが、この数値を、2023年には75%以上に伸ばす目標を掲げています。岐阜県では今後も、糖尿病治療の中断は大きな損失であることの周知を図り、治療を継続しやすい医療提供体制や職場での糖尿病治療への理解などの環境整備を推進していく方針です。
参考文献・出典など
■厚生労働省「第7次医療計画について」
■厚生労働省「第7次医療計画における5疾病・5事業 (がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患、救急、災害、へき地、周産期、小児)及び在宅医療の医療体制」
■岐阜県「第7期保健医療計画」
■岐阜県「第3次ヘルスプランぎふ21(岐阜県健康増進計画)」
画像提供:PIXTA
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