心筋梗塞等の心血管疾患——②回復期医療
厚生労働省が重点的に医療提供体制づくりを進めるテーマとして、5疾病・5事業があります。今回はそのなかで「心筋梗塞等の心血管疾患(※)」を取り上げ、回復期医療の取り組みについて紹介します。
※2018年度から、「急性心筋梗塞」は「心筋梗塞等の心血管疾患」と見直され、心不全などの合併症を含めた医療提供体制の構築が進められています。
◎5疾病・5事業については、こちらをごらんください。
心血管疾患の再発を予防するために。
心臓病は一度発症すると、同じ病気を再発するリスクがあります。救命・急性期医療で救われた命を守り、再発を予防していくために、回復期医療は重要な役割を担っています。しかし、慢性心不全患者の約20〜40%は、1年間のうちに再入院しています。
そうした再発・再入院を防ぐために、回復期心血管疾患リハビリテーションを実施する病院では、基礎疾患や危険因子の管理、合併症への対応などを行い、疾患再発や再入院の予防をめざす取り組みを進めています。同時に、患者教育(医師や看護師による個別生活習慣指導)、服薬指導、運動療法などを行い、多面的・包括的なアプローチで疾病を管理していきます。
また、急性期から回復期へ円滑に医療を橋渡しするために、院内連携・病院間連携の体制づくりも重要です。国は地域の医療資源を効率的に用いて、多職種が連携できる体制づくりをめざしています。
岐阜医療圏の取り組み----- 再発予防や社会復帰をめざして。
心血管疾患の再発を防ぎ、スムーズな社会復帰を実現するために、発症した日から急性期における心臓リハビリテーションを開始し、回復期に移っても、リハビリテーションを継続することが必要です。心臓リハビリテーションとは、心臓病の患者が、体力を回復して社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することをめざして行う包括的なプログラムのことです。
岐阜医療圏では、心大血管リハビリテーション料(I)と(II)の届出(※)を行っている施設を合計15カ所(2021年7月1日時点)配し、回復期の心臓リハビリテーションに力を注いでいます。これらの施設では、多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士など)がチームを組んで、患者の体力回復や運動能力の向上に取り組んでいます。
- ※心大血管リハビリテーション料(I)届出施設:
循環器科または心臓血管外科の医師が、心大血管疾患リハビリテーションを実施している時間帯において常時勤務し緊急時に即対応が可能な体制を整備。 - ※心大血管リハビリテーション料(II)届出施設:
循環器科または心臓血管外科を担当する常勤医師または心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する常勤医師が1名以上勤務し、心大血管疾患リハビリテーションの経験を有する専従の理学療法士または看護師のいずれか1名以上勤務。
- 心大血管リハビリテーション料(I)届出施設
- 国立大学法人岐阜大学医学部附属病院
- 岐阜県総合医療センター
- 岐阜市民病院
- 羽島市民病院
- 岐阜県厚生農業協同組合連合会 岐北厚生病院
- 松波総合病院
- 千手堂病院
- 岐阜ハートセンター
- 岩砂病院・岩砂マタニティ
- 独立行政法人国立病院機構 長良医療センター
- 朝日大学病院
- 公立学校共済組合東海中央病院
- 岐阜清流病院
- 岐阜赤十字病院
- なかハートクリニック
- 心大血管リハビリテーション料(II)届出施設
- なし
参考文献・出典など
■厚生労働省「第7次医療計画について」
■厚生労働省「第7次医療計画における5疾病・5事業 (がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患、救急、災害、へき地、周産期、小児)及び在宅医療の医療体制」
■岐阜県「第7期保健医療計画」
画像提供:PIXTA
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