中日新聞 地域医療ソーシャルNEWS
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
新型コロナウイルス対策特集
中日新聞LINKED〈発〉

心を生きのびよう⑨ーある臨床心理士のつぶやきー

第9回 そうすることにはワケがある!

2020年11月17日|974 VIEW

マスクの人混み

先日、用事のかえりに、車で週末の夜の繁華街を通ったのですが、なんとすごい人出なんです。びっくりしました。

え?今って、え?と一瞬、タイムマシーンで昔に戻ったような。

その界隈の東西、南北のどの通りも、お祭りのごとくマスクの人々が出歩いているんです。

だからですね

あとから分かったのですが、私が通った通りのすぐ近くの1kmにわたる公園がリニューアルされ、1週間前に数々の新しいカフェやショップがオープンしたので、その余波だったかなと、腑に落ちました。

こんな時でも、大規模な再開発というのは中断できないんだなあ、いやいやコロナ禍の流れを読みつつも経済の動きを止めないためにという考えかなあ…。

信号で止まった車の前を行き交う人たちは、みんな嬉々としているようでした(マスクで分かりにくくても歩き方がね)。

危ないと感じながらも、「解放されたいよね」と共感もできます。

心の揺り戻し

一般的に、人は基本的なことの変化を好みません。家や、寝る場所、家族…。

そういったものがくるくる変わっては神経がやられてしまうのが人間の生理であり心です。

今また感染者が増えてきているのは、“やっと少し元に戻してもいいんじゃないか?”という、心からしたら当たり前の現象の、揺り戻しの影響なのでは、と思うのです。

いい習慣

この「変化したくない」仕組みを利用したのが、習慣づけですね。

その人がしたい行動を、習慣化することで続けられるようにしてしまう。

心は、基本的な変化が面倒だから、毎日その手順ですることが習慣になれば、今度はやめにくくなる、というわけです。

習慣の落とし穴

でも、なんで私たちの多くは、筋トレや英語の勉強をいつの間にかやめてしまうのか?

なんで磯野家のカツオくんはいつまでたっても勉強しないで怒られるのか?

それは、習慣化するのには結構な動機付けが必要だからなんです。

ちょっとややこしいですが、一つの行動を習慣にすることも、はじめは「変化」なので、変わりたくない自分を抑えて繰り返す、ということができるくらいの「動機」がいるのです。

でなければ、みんな筋肉バキバキ、英語ペラペラ、カツオくんはワカメちゃん並みに成績優秀になっているはずではないですか(笑)?

ほめられたい!

そして、この「動機」は否定的なものはあまり効果はなく、肯定的なもののほうがいいとされています。

~にならないために!よりも、~になりたい!~に認められたい!という気持ちのほうが人を強く導くようです。

小さな子がしつけを身につけるのも、お母さんに褒められたい!、が大きな大きな動機ですね。

“しかたない”

コロナ禍の生活には様々な変化がありますが、それに肯定的な動機は持ちにくいのです。

とはいえ、いやだ、我慢しないと責められる、という気持ちが勝っていると、すべての制限がストレスになるでしょう。

“しかたないから、こういう時はこうしましょう”くらいに思えることでよしとしましょう。

まだ注意をしながら、時には息抜きをしながら。

昔、成功率が高いと評判だったダイエット法にも「10日に一度は、自分にケーキを許しましょう」とありましたよ。

画像提供:PIXTA

中日新聞リンクト編集部からのお願い

皆さまからいただくコメント・ご意見が、私たちの活力になります。より良いサイトづくりのため、皆さまの投稿をお待ちしておりますので、ぜひ下記投稿欄からお気軽にコメントください!
各病院への診療に関する質問・相談等はこちらではお答えできませんのでご了承ください)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。