中日新聞LINKED〈発〉

心を生きのびよう⑧ーある臨床心理士のつぶやきー

第8回 新しい生活のために

2020.10.21341 views

飲食も、洋服も

先日、かなり久しぶりにデパートに行きました。ときどきのぞいていた洋服のお店も本当にご無沙汰だったのですが…、なんと、興味がわかないんです。

だって…。どこに着ていくの?

すでに在宅勤務ではなくなった、仕事用のワードローブなら必要はあるけれど、食事にも、旅行にもほとんど行かない。そんなコロナ禍の最中にあっては、お出かけ着がいらなくなるんだ、と痛感しました。

悪夢のように

おもえば、今年の初めくらいから、中国から、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、その他の国へ…世界中が変化をしてしまいました。
今までだったらアニメか映画の中でしか起きなかったような、“どこかの国から発生したウイルスが世界中に蔓延する”というストーリーが、本当に起きるんだということを、私たちは知りました。

もう元に戻ることはないのではないか…という恐れさえ抱いてしまうほどに。

心の「策」

このウイルスは、きっと、いくらワクチンができてもその影響はゼロにはならず、心の中に「コロナ禍の抗体」を生んだのではないでしょうか。

たとえば、日本の感染者数が今よりもっと多かった頃より、今のほうが、公的な場所でのマスク装着がより当たり前のことになっている気がするのです。もちろん、必要なことですが、もはや、どこか自然なことになっている…。

いつか書きましたが、人の心は「防衛」という働きをします。やられたらやり返す、というよりは、いろいろな策を弄して守りに入るわけですね。脅威を、いつまでも同じ強さで受け止めていると心が持たないので、“もう仕方ないこと”にしたり、予防行動を“習慣”にしてしまうことで、心の負担を減らそうとしたりします。

そのほうが、脳にとってエコになるからです。

日本と欧米と

マスクといえば、いまだ感染者の再度の増加をみている欧米諸国、特にアメリカと日本の人々のマスクに対する認識に大きな乖離がありました。今でこそ違っていますが、当初はマスクを受け入れることが困難なようでした。

あるがまま、と支配

数年前にスイスの氷河急行に乗ったとき、欧米人て2000メートルの山にこんなトンネルを作り鉄道を通してしまうんだ~と、単純ながら驚きました。自然に対する向き合い方が、日本人とは全く違うのではないか。いい悪いではなくて、私たちはどちらかというと自然やあるがままを受け入れる派で、氷河急行を作る人たちは、強い意志をもって自然を支配する派、というような。

だから、ウイルスに対しても「負けないんだ」という気持ちの現れが、マスクへの躊躇だったのではと、ひそかに思うのです。

そんな思いはワクチン開発を促進するでしょう。

一方で、ワクチンの開発までは、ウイルスの特徴に合わせた生活様式を取り入れざるを得ない。
そんな、“合わせる”という姿勢が、日本の感染者数を莫大なものにしていない一因のような気がしてなりません。

これからも季節の移り変わりとともに、波は来るかもしれません。私たちは、その都度、習慣を変化させつつできることをしていく。そんな姿勢が、心を疲れさせない生き方のひとつといえるのではないでしょうか。

画像提供:PIXTA

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  • アバター 松下雅美 より:

    「心を生きのびよう」のコラムを楽しみにしています。
    上手く言葉にできない、言葉にしてもいいのだろうかと迷う心の揺れに、そっと肩に手を置いて「そういう気持ちになることもあるよね」と言って下さっているようで、本当にほっとして力を頂いています。ありがとうございます。

    • アバター 心を生きのびよう筆者 より:

      松下様
      コメントを有難うございます!筆者です。変化はどんなものでもストレスを伴いますが、この状況を生き延びるために何か書けたらいいなと思っています。
      松下様がそのように感じてくださって、とても嬉しいです。
      これからも、よろしくお願いします!

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