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新型コロナウイルス対策特集
中日新聞LINKED〈発〉

介護施設における新型コロナウイルスの現実①

クラスターになりやすい要因

2020年9月7日|1,925 VIEW

新型コロナウイルスの新規感染者のピークを超えたとの見方も広がっていますが、まだまだクラスターが全国各地で発生しています。
その中でも介護施設でのクラスターは終息までに時間がかかり、状況によっては閉鎖に追い込まれる可能性もあります。

介護施設でのクラスターを発生の要因、影響、今後の課題の3つの視点から見ていきましょう。
パート①はクラスターになりやすい要因についてです。

施設環境による要因

介護施設は集団行動がとても多く、日常的に密な状態になっていると言えます。

みんなで食事

食事は決まった時間に食堂でします。
ほとんどの施設ではひとつのテーブルに4人程度が座り、向かい合っています。
施設の大きさや設備の関係で、横並びや向かい合わない席での食事の実現は難しい状態です。

複数での入浴

入浴は大きな浴室に複数人(入居高齢者、介護者)で入ります。
介護者はマスクをしていても、高齢者はマスクをしていませんので、飛沫防止を完全におこなうのは難しい環境です。

ゾーニング(隔離対応)が難しい

感染者が出た時、感染者と非感染者をわけることが難しかったり、できたとしても時間がかかります。
理由としては職員不足や施設のスペースに余裕がない等の作りや設備等が考えられます。

入居者の特性からくる要因

入居者の多くは高齢者です。そのため感染対策を講じにくい状況にあります。

認知能力の低下

認知症を患っている人も多く、マスクの着用や消毒の必要性などの理解を得るのが困難です。
介護者の顔が十分見えないと不安や恐怖を感じる人もおり、介護者がマスクを常にし続けることも難しいことがあります。

対応は近距離で

耳の聞こえが悪くなっている人が多いため、会話は近距離になります。

また、排せつの介助が必要な場合には、体を抱えたり支えたりしなければなりません。

手袋手部狂をしているとはいえ、オムツ交換時などは体液に触れる可能性も高くなり、感染リスクが上がります。

体調不良に気づきにくい

高齢になると本人が体調不良に気づきにくくなりますし、気づいたとしても上手く表現できない場合があります。

そのため発熱があればわかりやすいですが、倦怠感や寒気などの症状は見逃されてしまうこともあります。

人的要因

人材不足

介護施設では慢性的な人材不足があり、感染者の介護者と非感染者の介護者をわけることも容易ではありません。

感染症の専門家が少ない

施設によっては看護師がいるところもありますが、介護施設の職員の多くは感染症について学んでいる人は少ないのが現状です。

そのため、エビデンス(科学的根拠)に基づく感染対策を取りづらいというケースもあります。未知の感染症に対しては知識が十分とは言えません。

介護施設では要因が複雑

介護施設では新しい生活様式で推奨されている、三密を避けること自体が難しい環境です。

密接しなければケアできないことも多いですし、入居者の理解と協力を得にくいなど、複数の要因が重なっていることがクラスター発生の要因となっています。

参考サイト>>
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
新型コロナウイルス感染症対策情報2(Q&A)
高齢者介護施設における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に係る現状と要望(その3).pdf

厚生労働省
高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について

 

 

画像提供:PIXTA

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