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新型コロナウイルス対策特集
中日新聞LINKED〈発〉

心を生きのびよう④―ある臨床心理士のつぶやきー

第4回 さあ、どちらに行きましょうか

2020年6月17日|584 VIEW

前回はこちら>>心を生きのびよう③―ある臨床心理士のつぶやきー

特集ページ

美容院で、ファッション雑誌を手に取りました。とても買えないような値段ですけど、でもかっこいいなあとモデルの森星さんをしばし見ていくと、次には、特集ページ。

新型コロナウイルスの席巻によって、変わりつつある世の中に対する提言というのでしょうか。小説家、評論家、芸能人など、有名な方たちが丁寧に、これから私たちはどう生きていけばいいのかについて論じていました。
でも、途中でその雑誌を閉じてしまいました。

頑張れなくても

今、世の中の論調は二つの方向があるようです。
このウイルスの誕生によって、世界中がいまだ危機に瀕し、日本ではコントロールしながら共存を図る局面に来ていますが、つまりは、長い付き合いになると覚悟しなければならない。

最初は「頑張ろう!」「こんな方法があるよ」と、みんなが同じ方向を向いていましたが、今は、「このパラダイムシフトに対して、どう対処するのか」という方向と、「頑張れなくてもいいよね、癒されたい人もいる」という方向があると感じます。

私が美容院で経験したのは、「時々は頑張るのを休みたい」という気持ちだったのでしょう。

強烈な学習

だんだんと暑い季節となり、熱中症予防のために、距離をとれる状況ではマスクを外そう!と呼びかけられています。

新聞のコラムにも、それは当然のこと、とありました。でも、私たちにはもう、怖さがどっしりと根付いてしまって、まだまだ路上でマスクを外している人の数は多くありません。

緊急事態ではないと頭ではわかっているはずなのに、なかなか外食店やカラオケに客足は戻っていません。ほぼ6週間の恐怖が脳の中に、新しい行動の回路を作ってしまったかのようです。

人は欲求がもとになって行動を変える存在ですが、生存の欲求はもっとも強いものですから、安全と思われる行動を強烈に学習したのです。それはなかなか変えられるものではありません。

いろんな人がいたんですね

人の行き来が少しずつ増えて、ある友人はやっと2か月間の出張から戻ってきました。感染者数の少ない県への出張だったのですが、移動ができなくなり帰るのが延び延びになっていたのです。
その県では、緊急事態宣言解除とともに、居酒屋で、普通におじさんたちが(ほかの人たちもいたと思いますが)呑んでおしゃべりしていたそうです。

一方、東京では、美容院が閉じてしまっていたために、髪の毛が伸びても切れない人が多かったとか。

県によって、恐怖の強さがさまざまであったことが、今になってようやく「話してもいいこと」になったと言えるのかもしれませんね。

まじめな人へ

もしも、心が少し苦しくなってきたなら、危険を回避する行動を、少し裏側から見てみませんか?

私たちがどんなに怖がっているか、と考えてみる。

予防策をきちんととることと、その行動から離れられないことは、意味が違っている場合があるのです。
とくにまじめな人が陥りやすい、「学習の罠」といえるでしょう。

画像提供:PIXTA

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“心を生きのびよう④―ある臨床心理士のつぶやきー” への1件のコメント

  1. もりのこみち より:

    昔も今のような状態の時期があったのです。でも人々はワクチンを作ったり抗生物質をつくり生き抜いてきたのです。だから今もその時なのでだから自分に出来る事を行い頑張って生きましょう。

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