中日新聞 地域医療ソーシャルNEWS
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
新型コロナウイルス対策特集
中日新聞LINKED〈発〉

コロナ禍での不妊治療②

パート2

2020年6月12日|707 VIEW

5月18日発表された不妊治療に関する学会の声明によって、治療の再開ができるようになりました。
パート2では、なぜ不妊治療延期を考慮する必要があるのか、不妊治療助成金の要件緩和の内容、治療休止中にできることについて紹介します。

※パート1はこちら>>コロナ禍での不妊治療 パート1

なぜ不妊治療の延期を考慮する必要があるのか

不妊治療に関しては、次のような背景から治療の延期も選択肢に入れるように声明が出されました。これらは、今後も状況に応じて懸念されることであるため、治療を行うことを決めたカップルは、念頭に置いて治療を進めていきましょう。

●新型コロナウイルス感染症の死亡率はインフルエンザの10~15倍と考えられており、そのほとんどが 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関連したものであること。

●新型コロナウイルス感染症が妊娠、特に妊娠初期の胎児に及ぼす影響は明らかになっておらず、母体から胎児への感染の可能性は不明であること。

●妊婦における新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高いとはいえないという一方で、妊婦において新型コロナウイルス感染の重症化の可能性が指摘されていること。

●感染時に使用される治療薬として妊婦に禁止されている薬剤による治療が試行されていること。

●不妊治療によって妊娠したあとの新型コロナウイルス感染への対応に苦慮することが予想されること。

●受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されていること。

助成条件を緩和

新型コロナウイルス感染防止の観点から一定期間治療を延期した場合、今年度に限り次のように不妊治療の助成金を受けるための年齢要件が緩和されています。

従来の要件 2020年度に限った緩和要件
①対象者
治療期間初日の妻の年齢 「43歳未満」
「44歳未満」に変更
②通算回数
「初回助成時の治療期間初日の妻の年齢が40歳未満:6回(40歳以上:通算3回)」
「初回助成時の治療期間初日の妻の年齢が41歳未満:6回」に変更

 

不妊治療はお金もかかるものです。限定的ではありますが、状況に合わせて要件が変更されたことは嬉しいですね。

治療を延期している間にできること

感染予防に気を付けながら治療を急ぐカップルもいることでしょう。しかし、もう少し様子を見てから治療を再開しようと考えている人は、このような事態を前向きに捉えらえましょう。

次のようなことを行い、自分たちのタイミングで治療再開するために準備しておくといいですね。

①体調を整える

規則正しい生活や食生活を実践し、体調を整えて治療に備えましょう。外での運動を積極的にしたくない人は、家でできる運動でかまいません。

 

②月経周期を整える

月経が不順な人は、内服治療を行い月経周期を整えるために有効的に時間を使うという考えもあります。

③妊娠に関わりがある乳酸菌を調べる子宮内フローラ検査などを行う

これまでは子宮の中は無菌状態だといわれてきましたが、子宮内にも腸のように細菌のフローラが存在することがわかりました。

この子宮内のフローラが妊娠に関係する可能性があり、クリニックなどで検査が勧められています。

このように、妊娠に関係する検査を受けたり、その結果によるアドバイスを実行するよい時間となります。

④治療についてパートナーと話し合う

治療についてのお互いの認識など、パートナーともう一度話すきっかけにもなります。

参考文献
1.日本生殖医学会
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明 (2020年4月1日版)
2.厚生労働省
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う不妊治療女性における対応

画像提供:PIXTA

中日新聞リンクト編集部からのお願い

皆さまからいただくコメント・ご意見が、私たちの活力になります。より良いサイトづくりのため、皆さまの投稿をお待ちしておりますので、ぜひ下記投稿欄からお気軽にコメントください!
各病院への診療に関する質問・相談等はこちらではお答えできませんのでご了承ください)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。