すこやかな眠りのために――睡眠時無呼吸症候群3つの治療
コロナ禍でも気をつけるべき病気・健康情報:睡眠時無呼吸症候群
家族から「いびきがうるさい」「時々いびきが止まった後、ガガッと再開する」と指摘されたことはありませんか? もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群という病気かもしれません。放置すると、さまざまな生活習慣病を引き起こし、命に関わる恐れもあります。治療には専門的な知識や技術が必要です。専門医を受診して、すこやかな眠りを取り戻しましょう。
「いびきが続く」「時々止まってはガガッと再開する」のは危険なシグナル
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)というのは、睡眠中に呼吸が止まったり、弱くなったり浅くなったりして、日常生活にさまざまな支障をきたす病気です。睡眠時に十分な酸素を取り込めないため、睡眠の質が低下し、日中に強い眠気におそわれて集中力が低下するのです。
鼻がつまっているときやお酒を飲んだとき、寝入りばなや疲れているときに、一時的にいびきをかく程度なら心配ありません。しかし、次のような症状があるときは、睡眠時無呼吸症候群を疑って、専門医を受診したほうがよいでしょう。
いびきが時々止まった後、ガガッと再開する
いびきに強弱がある
何回もトイレに起きる
日中、強い眠気や倦怠感がある
朝起きたときに口の渇きがある
以前に比べて集中力や記憶力が低下した
血液中の酸素濃度、無呼吸・低呼吸の回数などを検査する
睡眠時無呼吸症候群かどうかは、パルスオキシメーターによるスクリーニング、指先・呼吸のセンサーによる簡易検査、ポリソムノグラフィー(PSG)検査によって調べます。
パルスオキシメーターによるスクリーニングでは、指先につけたセンサーで血液中の酸素濃度を測定し、無呼吸による酸素の低下状態をみます。
指先・呼吸のセンサーによる簡易検査では、1時間あたり10秒以上の無呼吸・低呼吸が何回あるかを調べ、酸素の低下状態を確認します。
この2つの検査は外来で行えます。
これに対して、3つめのポリソムノグラフィー検査は、1泊の入院が必要です。睡眠時無呼吸症候群の検査では最も精密で、脳波、心電図、筋電図、血液中の酸素濃度、呼吸など、さまざまな情報を測定します。これによって、無呼吸・低呼吸の回数、酸素の低下状態、睡眠の質などを診断します。
治療法は3つ。病状や状況によって選択する
睡眠時無呼吸症候群の治療法には、口腔内装置による治療、手術による治療、CPAP(シーパップ)療法の3つがあります。どの治療を行うかは、病状や状況によって選択します。
口腔内装置というのは、マウスピースのような装置で下顎を前方に固定して、睡眠中の空気の通り道を確保しようとするものです。
手術は、気道をふさぐ原因となっているアデノイド、扁桃腺などを取り除く方法です。鼻呼吸を妨げている鼻の病気がある場合も手術をすることがあります。
CPAP療法は、睡眠中に鼻マスクをして一定圧の空気を送り、気道がふさがるのを防ぎます。これによって、無呼吸やいびきが減少し、症状を改善することができるため、中等症以上では最も有効な治療法です。検査によって一定の基準を満たせば、健康保険の適用を受けられます。
睡眠時無呼吸症候群の治療によって生活習慣病が改善されることもある
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると高血圧や脳卒中、虚血性心疾患などの循環器疾患にかかったり、糖尿病を発症する危険性が高くなるといわれています。
また、日中に強い眠気におそわれて事故をおこしたり、仕事でミスを重ねてしまう例も少なくありません。
しかし、適切な治療を行えば、症状を改善することができるのはもちろん、さまざまな生活習慣病が改善されることもあります。
それには、専門医を受診して、適切な検査と治療を受けることが重要です。気になる症状があるときは、ためらわずに受診しましょう。
事監修:医療法人 尚徳会 ヨナハ総合病院 理事長・院長 鈴木賢二
参考文献
■国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「睡眠時無呼吸症候群と循環器病」
画像提供:PIXTA
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