高齢者が注意すべき「誤嚥性肺炎」。正しく予防し、命を守ろう
コロナ禍でも気をつけるべき病気について:誤嚥性肺炎
がんや心疾患、脳血管疾患に並ぶ、日本人の主要な死亡原因の1つ「肺炎」。その中でも、近年増加しているのが「誤嚥性肺炎」です。誤嚥性肺炎は、誤って気管に入った飲食物等により引き起こされる感染症で、飲み込む力や機能が低下した高齢者に多く発生します。基本的に高齢になればなるほど誤嚥性肺炎のリスクは高くなりますが、適切に対策を行うことで、そのリスクを少なくすることも可能です。病気を正しく知り、普段から予防を心がけましょう。
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高齢化に伴い、誤嚥性肺炎で亡くなる方が増加中
誤嚥(ごえん)とは、本来口から食道へ入るべき食べ物や飲み物、唾液が、誤って気管に入ってしまうこと。誤嚥性肺炎は、その誤嚥した物に含まれる細菌などが肺に入り、肺の中で炎症が起きる疾患です。
誤嚥性肺炎は、特に高齢者に多い疾患で、70代以上がかかる肺炎の7〜8割が誤嚥性という報告もあります。現在、日本では、誤嚥性肺炎による死亡者(※)が増加傾向にあり、高齢化の進展に伴って今後もさらに増えることが懸念されています。
※厚生労働省の令和元年(2019). 人口動態統計月報年計(概数)によれば、2019年の誤嚥性肺炎による死亡者数は4万人超で、日本人の死亡原因第6位となっています。
誤嚥性肺炎の症状
誤嚥性肺炎の症状としては、高熱や激しい咳、膿のような痰(たん)などが典型的です。ただし高齢患者さんの場合、こうした典型的な症状が無く、知らない間に肺炎が進行してしまうケースも多いので注意が必要です。
高齢者に次のような症状がある場合は、誤嚥性肺炎が疑われますので、一度、病院やかかりつけ医などで診てもらいましょう。
・何となく元気がない
・最近食欲がない
・のどがゴロゴロと鳴る
・食事時間が長くかかるようになった
・口の中の食べ物をなかなか飲み込まない
・夜中に咳き込むようになった
誤嚥性肺炎のメカニズム。
私たちの咽頭(のど)の奥には、空気の通り道である「気管」と食べ物や飲み物の通り道である「食道」の分岐点があり、その分岐点には喉頭蓋(こうとうがい)と呼ばれる器官が備わっています。喉頭蓋は、呼吸をする場合には開いた状態で気管、肺へと空気を流し、物を飲み込むときはかたく閉じて食道、胃へと物を送る役割を果たしています。
しかし、加齢により筋肉や認知機能が衰えると、喉頭蓋の機能が正しく働かず、気管に飲食物や唾液が入ってしまうのです。その際、健康な人であれば、「むせる」反応が起き、咳により異物を気管外へ出そうとしますが、高齢になると「むせる」反応も弱くなるため、飲食物・唾液に含まれる細菌が肺に到達し、肺炎が引き起こされてしまうのです。
口腔ケアとトレーニングで、誤嚥性肺炎を予防。
誤嚥性肺炎を予防するためには、特に次の2つが効果的です。
まずは、「口の中を清潔に保つこと」。誤嚥性肺炎の主な原因は、誤嚥した飲食物や唾液に含まれる細菌です。日頃から歯磨きなどの口腔ケアをしっかり行い、口の中を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎の発生リスクを軽減することができます。
2つ目は、「のどを鍛えること」。トレーニングを行うことで、飲み込みに関わる筋力や反射スピードを鍛え、誤嚥が起きにくい体を作ることが大切です。私たちの飲み込む力は40〜50代から衰え始めると言われています。
「私はまだ大丈夫」と思わず、40歳を過ぎたら、のどのトレーニングを行いましょう。
●参考サイト
■日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会HP「嚥下」
画像提供:PIXTA
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