心臓弁膜症の治療、高齢でもあきらめないで。
コロナ禍でも気をつけるべき病気について:循環器疾患
心臓弁膜症のなかでも、加齢や動脈硬化により増えているのが、全身に血液を送り出す大動脈弁がうまく開かなくなる「大動脈弁狭窄症」や、僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流する「僧帽弁閉塞不全症」です。
今回は、大動脈弁狭窄症の治療法について紹介します。
→カテーテルでも治せる?治療のタイミングを逃さないために。 【WEBセミナー「歳とともに忍び寄る心臓弁膜症」】
大動脈弁狭窄症の治療法
●大動脈弁狭窄症とは。
大動脈弁狭窄症は、心臓の出口にある大動脈弁が開かなくなり、心臓から十分な血液を送り出せなくなる病気です。原因は動脈硬化(動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態)と同じように、大動脈弁が硬くなって癒着し、弁の動きが悪くなり、開放が制限されることです。そのため、動脈硬化のある高齢者はとくに注意が必要です。
軽症~中等症では、薬で症状を軽減しながら、定期的に心臓エコー検査を行い、治療のタイミングを判断します。また、同時並行して、高血圧などの基礎疾患の治療も行います。
●外科的に行う、大動脈弁置換術。
重症の大動脈弁狭窄症に対しては、大動脈弁置換術を行います。これは、胸を開いて、人工弁に置き換える手術です。心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用いて心臓を一時的に止め、石灰化した大動脈弁を切除して人工弁に置き換えます。
大動脈弁置換術を行うと、動機や息切れの症状から解放され、健康的な生活を取り戻すことができます。ただし、高齢やその他の疾患など、外科手術の危険が高い方には手術を行うことができません。
●体に負担の少ない、経カテーテル大動脈弁置換術「TAVI(タビ)」。
高齢やその他の疾患を持つ人でも、条件が合えば、経カテーテル大動脈弁置換術「TAVI」を行うことができます。これは、カテーテルと呼ばれる医療用の管を使って、機能が低下した大動脈弁を人工弁におきかえる治療法です。 脚の付け根などからカテーテルを挿入し、ステント(金属製の網目模様の筒)と一体化した人工弁で、狭くなった大動脈弁を押し広げ、留置します。
TAVI は2013年に健康保険が適用された新しい治療法で、厳しい審査に合格した限られた施設のみで行われます。
記事監修:岡崎市民病院 循環器内科 統括部長 田中 寿和
画像提供:PIXTA
中日新聞リンクト編集部からのお願い
皆さまからいただくコメント・ご意見が、私たちの活力になります。より良いサイトづくりのため、皆さまの投稿をお待ちしておりますので、ぜひ下記投稿欄からお気軽にコメントください!
(各病院への診療に関する質問・相談等はこちらではお答えできませんのでご了承ください)
コメントを残す