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岡崎市民病院

シニアの動悸や息切れ、もしかして「心臓弁膜症」かも!?

コロナ禍でも気をつけるべき病気について:循環器疾患

2021年2月16日|3,466 VIEW

「階段を上ると、胸がドキドキする」「歩いていると、息切れすることがある」—最近、そんな自覚症状はありませんか。少々、動悸や息切れがあっても、「歳のせいだろう」と見過ごしがちですが、実は心臓弁膜症のサインかもしれません。心臓弁膜症とはどんな病気か、早期発見するためにはどうすればいいかについて紹介します。

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心臓弁膜症とは?

心臓弁膜症とはどんな病気でしょうか。その前に、心臓の働きについて簡単におさらいをしておきたいと思います。

心臓は、収縮と拡張を繰り返すことで、全身に血液を送り届けるポンプの役割をしています。全身をめぐって戻ってきた血液は右心房から右心室に流れ、肺に送られます。肺から戻ってきたきれいな血液は左心房から左心室に流れ込み、全身へ送り出されます。

こうした血液の流れを維持するために右心室と左心室の入り口と出口にはそれぞれ「弁」があります。右心室の入り口には「三尖弁(さんせんべん)」、右心室の出口には「肺動脈弁」、左心室の入り口には「僧帽弁(そうぼうべん)」、そして、左心室の出口には「大動脈弁」があります。

心臓弁膜症は、これら4つの弁のいずれかに異常が起きてしまう病気の総称です。大きく分けると、弁が開きにくくなり、血液の通り道が狭くなる「狭窄症(弁の通過障害)」と、弁が閉じにくくなって血液の一部が逆流する「閉鎖不全症(弁の逆流)」があります。

なかなか気づきにくい、加齢に伴う心臓弁膜症。

心臓弁膜症の原因はいろいろあります。かつては、リウマチ熱の後遺症として心臓弁膜症になることが多かったのですが、近年増えているのは、加齢に伴う弁の変性や石灰化による心臓弁膜症です。年とともに、心臓の弁が硬くなったり、一部が変性して閉まりが悪くなっていくのです。

心臓弁膜症はゆっくり進行し、症状がない状態が長く続きます。その後、進行するにつれて、息切れ、胸の痛み、ドキドキなどの症状が出てきます。しかし、シニアになると、動悸や息切れがあっても年齢的に仕方がないと、病気の症状を見落としがち…。そのため、心臓弁膜症になっても、なかなか気づくことができません。

心臓弁膜症を早く見つけるには。

なかなか気づきにくい心臓弁膜症を、早期に発見するにはどうすればいいでしょうか。大切なのは、健康診断などの機会を逃さず、医師による聴診を受けることです。聴診で心雑音が聞こえると、心臓弁膜症の可能性があります。

心臓弁膜症が疑われると、超音波を利用する心臓エコー検査を受けることになります。そこで、弁の状態を詳しく調べ、重症度を評価して、治療方針を決めます。心雑音がある方は、定期的に心エコー検査を受けて、適切な時期に適切な治療を受けることが望ましいでしょう。

心臓弁膜症は、はじめは「弁」という心臓の一部分の病気ですが、進行すると「心筋」(心臓を動かしている筋肉)が障害されます。さらに重症になると、全身に十分な血液を送り出せなくなる「心不全」という状態を引き起こし、呼吸困難やむくみなどの症状が現れます。一度悪くなった弁は自然に治ることはないので、心筋の障害が進行する前に早期の診断と治療をすることがとても重要です。

 

記事監修:岡崎市民病院 循環器内科 統括部長 田中 寿和

●参考文献
■日本循環器学会「各疾患のご案内心臓弁膜症

 

画像提供:PIXTA

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