糖尿病は治らない病気。
しかし、正しく理解し治療を行うことで“健康な人と変わらない人生”を。
コロナ禍でも気をつけるべき病気・健康情報:糖尿病
皆様は「糖尿病」をご存知ですか?
情報が溢れる現代、テレビや新聞、インターネットなどを通して、誰もが一度は「糖尿病」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
令和元年の国の国民健康・栄養調査では、20歳以上において「糖尿病が強く疑われる」もしくは「糖尿病を治療中」の人を合わせた割合は男性で19.7%、女性で10.8%という調査結果が出ています。
そんな身近な糖尿病ですが、皆さんは糖尿病がどのような病気で、どのような症状が出るのかをご存知でしょうか?
糖尿病は重症化すると命の危険もある怖い病気ですが、診断を受けた後、適切に治療を行う事で“健康な人と変わらない人生”を送ることが可能な病気です。糖尿病を正しく理解し、予防・重症化予防につなげていきましょう。
糖尿病のメカニズム
糖尿病とは、「インスリンの作用不足により高血糖状態(血液中にブドウ糖がたくさんある状態)が続く病気」です。この「作用不足」には「インスリンの分泌が低下していること」と「インスリンが分泌はされているけど、機能が低下していること」の2つの意味を兼ね備えています。
そのメカニズムを解説します。
食事などから摂取した炭水化物などの糖質は、消化過程でブドウ糖や果糖に分解され、小腸から吸収されます。
そして吸収後は、血液によって全身に運ばれ、細胞に取り込まれてエネルギー源となったり、肝臓や筋肉、脂肪細胞の中に蓄えられたりします。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中にあるブドウ糖を細胞内に取り込む「鍵」の役割を果たします。
このインスリンは、ヒトの体にある血糖値を下げる「唯一」のホルモンになります。
このインスリンが何らかの理由で、充分に分泌されなかったり、充分に機能しなかったりすると、血液中にブドウ糖が多く残り、高血糖状態に陥ってしまいます。
糖尿病の種類
糖尿病には、主に免疫系の異常などによってインスリン分泌が枯渇する「1型」と、生活習慣や遺伝などの影響でインスリンの分泌量や機能が低下する「2型」、糖尿病以外の病気や、治療薬(炎症を抑えるお薬等)の影響で血糖値が上昇する「その他の原因、疾患によるもの」、そして妊娠中に初めて判明し、糖尿病には至っていない血糖値の上昇を示す「妊娠糖尿病」があります。
日本の糖尿病患者さんの9割以上は2型に分類されます。
糖尿病によって引き起こされるさまざまな合併症
糖尿病による高血糖状態が長く続くと、全身の血管がもろくなったり傷ついたりして、全身にさまざまな合併症を引き起こします。特に、細い血管が障害されることで、神経や目の網膜、腎臓に影響が出る場合が多く、「神経障害、網膜症、腎症」は糖尿病の三大合併症と呼ばれています。
これらの合併症が重症化するとそれぞれ失明、下肢の切断、透析などに至ることもあるため注意が必要です。また、糖尿病の影響で大きな血管が障害されると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に直結する合併症を発症するリスクも高まります。
上記の合併症は糖尿病と病診断されても治療を受けて、血糖値を良好にコントロールすることでその進行や、発生のリスクを軽減できることが知られています。
何より大切なのは早期発見・診断と予防
糖尿病はまず病気にならないよう、予防することが何より大切です。
定期的に健康診断を受け、普段の生活における食生活や、運動習慣などの生活習慣を見直して行くことが重要です。そして健康診断で高血糖や尿糖などの異常を指摘された場合には、症状が無いからと放置せず早めの受診を行うことが何よりも大切です。
糖尿病と診断された人も食事を中心とした生活習慣を見直すことは、健康な人と変わりありません。それに加え、必要に応じ内服薬・インスリン注射などを使用し、合併症を予防していくことが大切になります。
糖尿病治療を成功させるには、本人の努力だけでなく、医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などの多職種による総合的なサポートが大変重要になります。糖尿病に関する悩みや不安がある人は、一人で悩まずに是非一度かかりつけの先生に相談をされることをお勧めいたします。
画像提供:PIXTA
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