発見のきっかけはがん検診。大腸がんの検査ってどんな検査?
コロナ禍でも気をつけるべき病気について:大腸がん
30代から増加する大腸がんは、日本人で第2位のがんです(がん登録・統計2019年・男女計)。早い段階で見つけて治療をすれば治る可能性も高いがんですが、大腸がんは進行しても症状がないこともめずらしくありません。大腸がんに気づく兆候やきっかけについて見てみましょう。
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大腸がんは進行しても症状が出にくい
直腸がんなど肛門に近い部分にできる大腸がんの中には、血便(便に血が混じる)、便通異常(下痢と便秘を繰り返す、便が細い、便が残る、お腹が張る)などの症状が発見のきっかけになるケースもあります。こうした症状は体からの警告ですから、見逃さずにすぐ受診することが大切です。
しかし、早期であれば症状がないことがほとんどですし、特に、構造上、奥の方(盲腸、上行結腸、横行結腸など)にできる大腸がんの場合は、進行しても症状が出にくいため注意が必要です。腫瘍からじわじわ出血することにより、健康診断などの検査で貧血というで気づかれたり、腸閉塞やしこりになって初めて気づかれたときには、既にかなりがんが進行していることが多いのです。
ポリープががん化することも
良性のポリープ(腸の内部に突出したもの)が悪性化して大腸がんになる場合もあります。ポリープの段階で見つけて治療ができれば、手術せずに治すことも可能ですが、その段階では症状がありません。ですから、症状がないうちに大腸がんを早期発見するためには、40歳以上を対象に年1回の受診がすすめられている大腸がん検診を必ず受けることがとても重要です。
便に血液が混じっていないかを検査する「便潜血検査」
一般的に行われている大腸がんの検診は、「便潜血検査」という、便に混じった目に見えない血液を見つける検査です。1日もしくは2日に分けて専用のスティックで大便の一部を採取するだけで簡単に行えます。
精度は100%ではなく、がんがあっても20%ほどは陰性に出ることがありますが、だからといって意味がないのではなく、一度陰性でも、毎年受け続けることが大切になります。便潜血検査は、ほとんどの自治体や企業が費用を負担して検診に組み込んでいますので、自己負担なしまたは一部負担で受けることができます。
出血しないポリープや早期がんも見つけられる「内視鏡検査」
便潜血検査で陽性になった場合、精密検査として内視鏡検査を受けます。内視鏡検査は出血しないポリープや早期がんも見つけられるため、40歳を過ぎたら一度は人間ドックなどで内視鏡検査を受けておくのもおすすめです。ポリープやごく早期の大腸がんに対しては検査と同時に病変を取り除く「内視鏡治療」も可能です。
便潜血検査の受診率は40%台(厚生労働省「国民生活基礎調査」2019年)にとどまっており、先進諸国に比べて低い現状があります。また、要精検と言われても内視鏡検査を受けずに放置してしまう人も少なくありません。大腸がんは治療を受ければ多くは治る病気です。早期発見するチャンスを逃さず、治療につなげるためにも、きちんと検査を受けるようにしましょう。
「症状があっても見て見ぬふり」「陽性になると怖いから検査を受けない」のは本末転倒です。みすみす早期発見のチャンスを逃さないよう、正しい知識を持って行動につなげましょう。
記事監修:みよし市民病院 副医局長・内科部長 濱田広幸
●参考文献
■国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」
■国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
画像提供:PIXTA
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