心室中隔欠損症の基礎知識
成長と共に自然閉鎖する場合も? 先天性心疾患「心室中隔欠損症」
心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)は、心臓の心室中隔に孔が閉じ切らずに残った先天性心疾患の病気です。新生児や乳児検診で発見されることが多く、発生原因は不明。しかし先天性心疾患の中では割合が最も多い疾患で、手術による修復が可能です。 スポンサーリンク (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
原因は心臓に残った「孔」、自然閉鎖する可能性も
心臓には「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」の4つの部屋があります。これらのうち全身で使われて戻ってきた血液を肺に送る「右心室」と、肺できれいになった血液を全身に送り出す「左心室」は、真ん中にある大きな筋肉の壁「心室中隔(しんしつちゅうかく)」で隔てられています。
心室中隔欠損症は、心室を左右に分けている心室中隔が完全に閉じ切らずに孔が残って空いている状態。先天的な病気の一つで、1000人に3人の割合で出生します。そのうちの約半数は孔が小さいなどの理由で、2歳前後までに自然と閉じることが多いです。その後は閉鎖の確率は下がりますが、稀に成人に達した後に閉鎖する場合もあります。
孔が大きい場合は、肺に流れる血液の量が通常よりも増え、肺や心臓の大きな負担となり、肺に負担がかかり続けると、肺の血管が痛む「肺高血圧」になる恐れもあります。肺高血圧の状態になると手術が難しくなるケースが多く、修復できる確率が下がってしまいます。
病因は現在(2020年時点)では不明ですが、複数の遺伝的要素によるものと想定されています。
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心室中隔欠損症を早期発見するために知っておきたいこと
病気は出生前に発見できるパターンと出生後に発見されるパターンがあります。 ここでは出生前と出生後に分けて、発覚するきっかけから検査や処置までについてご紹介いたします。
<出生前に発覚する場合>
出生前は、胎児心エコー検査で見つかることがほとんどです。
出産前から生まれてきた後、どのように治療を進めるのか計画を立てることができます。
【検査】
近年、胎児心エコー検査で事前に先天性心疾患を発見することができるようになってきています。検査タイミングについては心臓の発育状態も関係してくるので、まずは医師に相談してみましょう。
【症状が見られた場合の対処法】
赤ちゃんは生まれた直後から自発的に呼吸を始めます。しかし、重い心疾患だった場合は思うように呼吸ができず、生命の危機に。ただし、もしも事前にわかっていれば、出産後すぐに対処できるような医療体制を整えておくことも可能です。また出産後から適切な処置を計画できるので重症な場合でも救命することができます。
<出生後の症状・検査・対処>
出生後、生活をしている中で心室中隔欠損症が発覚することもあります。親が日常生活の中で赤ちゃんの状態をしっかりと観察することが大切です。
【代表的な症状】
・呼吸が荒い
・呼吸の回数が多い
・ミルクや食事を摂る量が少なく体重が増えない
・元気がない
・汗をかきやすい など
また、小さな孔の場合には検診時の心雑音で見つかる場合が多く、目立った初期症状は見られないので、乳幼児健診は定期的に受診するようにしましょう。
【症状が見られた場合の対処法】
病状が重い場合は心不全を伴うこともありますので、早めに専門の医師に診てもらいましょう。
参考文献・出典など
■国立研究開発法人国立成育医療研究センター内「小児慢性特定疾病情報センター」
■一般社団法人小児外科学会
■東京大学医学部付属病院PICU
画像提供:PIXTA
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