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ホルモンと代謝|甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症の基礎知識

甲状腺ホルモン分泌量が下がることで代謝が落ち体が不調をきたす、甲状腺機能低下症

2022年3月22日|598 VIEW

「甲状腺機能低下症」は、甲状腺の働きが低下して、甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなっている状態を指します。30〜40代の女性に多く見られるのが特徴で、疲労感や体重の増加などの症状が引き起こされます。今回は「甲状腺機能低下症」について解説していきます。

甲状腺機能低下症の特徴的な症状は?

甲状腺機能低下症は一つの病気を指すものではなく、甲状腺に関わる病気の総称です。喉仏のすぐ下にある甲状腺は、ホルモンを作る内分泌器官のひとつです。甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌量が減少した状態を甲状腺機能低下症と呼びます。甲状腺ホルモンの量が低下すると新陳代謝が衰え、体が不調をきたします。

甲状腺機能低下症はいくつかの病気が挙げられますが、代表的なものが「慢性甲状腺炎(橋本病)」です。ほかには「亜急性甲状腺炎」や「無痛性甲状腺炎」などによって、甲状腺の機能が低下することもあります。

<主な病気>
・慢性甲状腺炎(橋本病)
・亜急性甲状腺炎
・無痛性甲状腺炎

慢性甲状腺炎(橋本病)

自己免疫の異常により甲状腺が破壊されて、慢性的な炎症が引き起こされます。その結果、甲状腺ホルモンの分泌量が低下してしまう病気です。発症頻度の高い病気で、30〜40代の女性は注意が必要です。代謝が低下するため、体にさまざまな不調が現れます。ただし、自覚症状がないことも多いので、発症に気づかないまま過ごしているケースもあります。

亜急性甲状腺炎

甲状腺に炎症が生じる病気です。甲状腺が腫れて痛みを感じますが、「亜急性」は慢性的に続くことではないことを指し、症状は1〜2ヶ月で落ち着きます。

無痛性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎と同じように甲状腺に炎症が生じる病気ですが、腫れや痛みは伴いません。自然に治っていく病気で、甲状腺ホルモンが改善してくると症状は落ち着きます。

どれもホルモン分泌の低下に関わる病気なので症状は似ています。

<特徴的な症状>
・寒がりになる
・脈拍数が少ない
・皮膚が乾燥する
・疲れやすくなる
・体重の増加
・全身のむくみ
・甲状腺が腫れる など

甲状腺機能低下症を引き起こす要因は?

甲状腺機能が低下する理由はおもに2つあります。ひとつが、甲状腺そのものに異常がおきてしまうケースです。慢性甲状腺炎(橋本病)などはこれに当たります。

もう一つが、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が減少するケースです。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの量は、脳下垂体から分泌されるTSHで調整されています。下垂体炎や下垂体卒中などによって脳の下垂体に異常が生じて、THSの量が減少すると甲状腺ホルモンの分泌も低下します。

そのほか、ウイルス感染によるもの、慢性的なヨード不足、放射線療法、甲状腺がんの手術、遺伝的な病気なども甲状腺機能低下症の原因として考えられています。ただし、詳しい発症メカニズムは解明されていません。

甲状腺機能亢進症を予防するための対応策は?

たばこを吸わないことや、ストレスを避ける生活を送ることなどが挙げられます。しかし、適切な予防法が確立されていないのが現状です。自覚症状がない場合もあります。甲状腺機能が低下している場合、血液検査でコレステロール値が高くなることが多いので、数値が高い場合は甲状腺ホルモンの検査を受けておくことがおすすめです。


参考文献・出典など
■日本内分泌学会甲状腺機能低下症

画像提供:PIXTA

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