胃食道逆流症の基礎知識
胸焼けや胃酸が上がってくる感覚を引き起こす、胃食道逆流症
胃食道逆流症とは、胃酸や食べ物が食道に逆流する病気です。命に関わるような病気ではありませんが、日常生活においてさまざまな悪い影響をもたらすため、適切な対処が必要です。
胃食道逆流症の特徴的な症状は?
胃食道逆流症の症状は、胸焼けによりみぞおちの上あたりがジリジリと焼けるような感覚や、呑酸によって酸っぱい液体が上がってくる感覚などが特徴です。他にも、胸が詰まるような痛みを感じる、のどの違和感、慢性的に咳が続くなどの自覚症状が起こることもあります。
胃食道逆流症は症状により次の3つのタイプに分けられます。
・非びらん性胃食道逆流症:食道炎がないが、自覚症状はある
・びらん性胃食道逆流症(自覚症状のある逆流性食道炎):食道炎があり、自覚症状もある
・びらん性胃食道逆流症(自覚症状のない逆流性食道炎):食道炎があるが、自覚症状はない
<食道炎とは>
食事を行うと、胃の中では食べ物を消化するための胃酸が分泌されます。通常、胃酸は強い酸性であるため、胃の内部は自身の胃酸で傷つかないように粘膜を貼って保護されており、粘膜が弱らない限り胃が痛むことはありません。しかし、逆流した場合は胃酸が食道を通ることに。食道にも同様の粘膜はありますが、胃の粘膜に比べて弱いので、胃酸が食道に逆流するとただれてしまう「食道炎」が起こります。
胃酸の逆流は常に起こるわけではなく、一般的に食後の2〜3時間までに起こるケースが多いのが特徴。胸焼けやのどの違和感などの症状を食後に感じた場合は、胃酸の逆流が起こっている可能性が考えられます。
胃食道逆流症が起こってしまう要因とは?
胃と食道の境目は通常は「括約筋」という筋肉によって閉じられており、胃酸を含めた胃の内容物の逆流を防いでいます。胃食道逆流症の逆流はこの弁の役割をしている括約筋の働きが弱くなることで引き起こされます。
<括約筋が低下する要因>
・加齢
・暴飲暴食
・アルコール
・喫煙
そのほか妊娠中の女性や肥満体型の人、便秘の人などは、胃に圧力がかかるので胃酸の逆流が起こりやすくなります。
胃食道逆流症の対策となるポイント
胃食道逆流症の対策となるポイントをまとめると、次のようになります。
<生活習慣を改善する>
生活習慣改善のポイントは食生活です。暴飲暴食や寝る直前の食事を控えましょう。また肥満体型の人は胃に圧力がかかっているので逆流しやすい傾向が見られます。ダイエットも症状改善に効果的です。
<定期的な検査>
胃食道逆流症は直接命に関わる病気ではないものの症状が強い場合は、稀にバレット食道と言われる食道の細胞変化や食道がんなどの合併症を引き起こす可能性があります。特に長期間症状が続いている人や50歳以上の人の場合は定期的に医師によるチェックを受けることをおすすめします。
<病院で治療をする>
胃食道逆流症の症状に対する治療法は、刺激となっている胃酸を減少させなければいけません。病院ではヒスタミン受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬などの内服薬を使用するケースが多く見られます。
規則正しい食生活を心がけることで、胃食道逆流症は予防・改善しやすくなります。また、効果的な治療法もあるので、合併症が起こるのを防ぐ意味でも、積極的に治療することが大切です。そのため気になる症状を感じたら早めにかかりつけ医を受診するようにしましょう。
参考文献・出典など
■ロート製薬株式会社「逆流性食道炎」の原因・症状を解説
画像提供:PIXTA
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