湿疹・かぶれなどの皮膚炎の基礎知識
かゆみや痛みを引き起こす湿疹・かぶれなどの皮膚炎
かゆみや痛みを引き起こす湿疹(しっしん)やかぶれなどの皮膚炎。その種類や症状は様々です。適切な対処ができるよう、正しい知識を身に着けましょう。
外から体を守るバリア機能をもつ皮膚
皮膚は一見すると一枚の皮のようにみえますが、表皮・真皮・皮下組織と言われる3つの層から構成されています。
一番外側の表皮は、日光(紫外線)やほこり、細菌、ウイルスなどの異物から体を直接保護しています。
真ん中の真皮には汗腺や血管などがあり皮膚に弾力性を持たせるとともに、皮脂や汗を分泌させ、皮膚表面に皮脂膜という保護膜を作ります。
さらに内側の皮下組織では皮下脂肪により外部刺激から体を守り、エネルギーの貯蔵庫としての役割も担っています。
こうした皮膚の働きによって日常的に外部刺激から体が守られていますが、このバリア機能でも防ぎきれない外部刺激や、特定の原因物質が刺激となることなどで発症するのが湿疹やかぶれなどの皮膚炎です。
湿疹・かぶれなどの皮膚炎の特徴的な症状
湿疹・かぶれなどの皮膚炎には、様々な種類があります。
ここでは、代表的な皮膚炎の種類とその症状についてご紹介します。
湿疹(皮膚に炎症反応を起こす病気の総称)
・アトピー性皮膚炎
主に顔周り、わきの下、ひじ、ひざなどの部位に、強いかゆみを伴う湿疹が出る皮膚炎です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す、皮膚がカサカサする、身体の左右対称に湿疹が出ることが多い、などの特徴があります。
・手湿疹
手に出る湿疹のことです。主婦の方や美容師の方など、頻繁に水や洗剤を扱う人がなりやすい病気で、皮膚がカサカサしたり、ひび割れ、水ぶくれ、ブツブツができたりします。
・皮脂欠乏性(ひしけつぼうせい)湿疹
乾燥した皮膚をかいたりすることで、湿疹ができる病気です。赤みやかゆみが出ます。高齢者の方や肌が乾燥しやすい方がなりやすい傾向があります。
・脂漏性(しろうせい)湿疹
頭皮や顔、わきなどの皮脂の分泌が多い部分に多く見られる湿疹です。フケが出たり、赤いブツブツが出たりします。
・汗疱(かんぽう)
てのひらや足の裏に数ミリ程度のかゆみを伴う小さな水疱(すいほう)がたくさん出る湿疹です。次第に皮が剥けてきて、自然に治ることが多いです。
かぶれ
正式名称は「接触皮膚炎」。湿疹の中でも、皮膚に外部から原因物質が接触したことによる刺激やアレルギー反応が原因で起こる皮膚炎のことです。
・刺激性接触皮膚炎
外部からの刺激が皮膚の抵抗力を超えてしまうことで起こります。一般的な外部要因は植物や洗剤、化学物質、化粧品などです。特徴として、接触してから短い時間で症状がでることが多いです。
・アレルギー性接触皮膚炎
皮膚が何らかの物質に接触した際、アレルギー反応が発生することで起こるかぶれです。有名な例だと、金属アレルギーの方が特定の金属のアクセサリーを着用することで起こるかぶれが、このアレルギー性接触皮膚炎にあたります。
・全身性接触皮膚炎
何らかの物質に接触しアレルギー反応が起こった後、食事や飲み薬の服用、注射などにより特定の物質を摂取することで、アレルギー反応が全身に広がるものです。有名な例だと、シイタケや水銀があります。
皮膚炎の原因は様々。誰でも発症する可能性があります
湿疹の原因には「外的要因」と「内的要因」があります。片方の要因だけで発症することもあれば、双方の要因が影響しあうことで発症することもあります。
外的要因の代表例
化学物質、薬、細菌、金属、虫、日光、気候など
内的要因の代表例
皮膚の水分や皮脂の量、アレルギー、アトピー素因、遺伝、皮膚の病気、内蔵の病気など
皮膚炎の対処法は?塗り薬以外にもできることはある?
皮膚炎が起こってしまった場合、下記の通りいくつかの対処法が考えられます。
原因となっている物質の除去・回避
原因となっている物質を取り除いたり、触れたり近づいたりしないようにします。
塗り薬や飲み薬の服用
かゆみや炎症を抑えるために、塗り薬や飲み薬を服用します。
かかない
患部をかいてしまうと、症状が悪化したり、他の部分へ「とびひ」したりしてしまいます。塗り薬や飲み薬の服用したり、患部を保護することで、患部をかかないように心がけましょう。
皮膚を清潔に保つ
原因物質や細菌が手に付着していることで発症する皮膚炎もあります。そのため、皮膚は丁寧に洗い、清潔な状態を保つようにしましょう。また、ハンドクリームなどを塗って、保湿してあげることも大切です。
症状の程度が深刻な場合や、上記の対策を行っても症状が良くならない場合は、医療機関を受診し、医師から適切な治療法についての指示を仰ぎましょう。
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