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頸椎症性脊髄症|骨・関節・筋肉

頚椎症性脊髄症の基礎知識

首の頚椎が変形して神経を圧迫する、頚椎症性脊髄症

2022年2月17日|954 VIEW

頚椎は加齢によってつぶれたり出っ張ったりします。その結果として首の神経を圧迫することがあります。

頚椎症性脊髄症はどんな病気?

頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)は、頚椎部(首のあたり)で脊髄が圧迫される病気です。
似た病気で頚部脊柱管狭窄症という病気がありますが、頚部脊柱管狭窄症が進行・悪化した病気が頚椎症性脊髄症であると言えます。
一般的に50歳代以降に多くみられる病気で、男性患者は女性患者の2倍程度になるということが報告されています。
日本人は脊柱管の大きさが欧米人に比較して小さく、脊髄症の症状が生じやすいと言われています。

頚椎症性脊髄症は年齢を重ねることで起こりやすくなる

頚椎症性脊髄症の原因として最も一般的なのは「加齢」です。
通常、30〜40代にかけて椎間板のつぶれ・骨棘(こつきょく、骨が出っ張っていくこと)の形成・関節の変形などにより、脊柱管という神経が通る管が狭くなっていきます。
さらに首に外力が加わることで神経に傷がつきやすくなってしまいます。
ここでいう外力というのは、転倒や打撲、事故など、日常生活でも十分起こりえるもので、特に転倒は年齢を重ねるにつれ増える傾向にありますが、転倒の際の軽微な外傷で脊髄損傷になり、結果として四肢麻痺(全身麻痺)になる可能性があるため、細心の注意は払う必要があります。

初めは細かい動きが難しくなり、進行すると歩行がしづらくなってくる

頚椎は我々が生活する上で非常に重要な役割をになっています。
その部分が傷つくことで、日常生活のさまざまな部分で影響を及ぼす可能性があります。

○上肢の障害

肩や上腕・前腕・手指などが痛んだり、しびれたりすることがあります。
いわゆる肩こりも上肢の障害に含まれますが、いわゆる血行障害や疲労などによる肩こりとは違い、放置することで別の上肢の痺れ・痛みにつながり、重篤化する可能性があります。
また、肘や手首手関節部でのしびれは紋扼性神経症との鑑別が必要であり、専門医の診察が必要になります。

○巧緻運動(こうちうんどう)障害

巧緻運動とは、箸を持つ・服のボタンを止める・本のページをめくるなど、手を使って行う細かい動作のことを指します。
上肢障害の結果として握力の低下や巧緻運動障害といった症状が現れます。

○歩行障害

脊髄が圧迫されると、歩行が特徴的になります。
筋力に変化がないことが多く、両足に力は入るのに足を突っ張らせながらの引きずり歩行(痙性歩行)になってしまいます。
初期症状として階段の上り下りが困難になったり階段を下りる時に手すりが必要になったり、つま先立ちができにくくなったりすると言われています。

○排尿障害(膀胱直腸障害)

頻尿・尿漏れ・残尿感など排尿障害が起こることもあります。

手術後、歩行や巧緻運動は予後が良い傾向にある

頚椎症性脊髄症は日本人に起こりやすい病であることもあり、ガイドラインがある程度整っています。その中で、手術である程度症状の改善ができ、特に歩きにくさや箸をもつなどの細かい動作はおおよそ予後が良いことが知られています。
しかし手足のしびれやこわばりがある場合、手術だけではよくなるとは言い切れず、その後のリハビリを行う必要があります。

なお、軽症の場合は手術を行わず装具や薬による治療が有効であることも知られており、早めの発見が重要ですので、気になる場合はかかりつけ医を受診しましょう。


参考文献・出典など
■Mindsガイドラインライブラリ「頚椎症性脊髄症についてわかっていることは
■Mindsガイドラインライブラリ「頚椎症性脊髄症の診断はどうするの
■Mindsガイドラインライブラリ「手術後の経過はわかっているの
■公益財団法人長寿科学振興財団「「健康長寿ネット頚椎症」
■日本脊椎脊髄病学会「脊椎脊髄疾患の主な症状
■メディカルフロンティア「頚椎・腰椎疾患について
頸椎手術後の患者の苦痛に対する看護介入

画像提供:PIXTA

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