脳血管障害の基礎知識
脳の血管が破れたり、動脈硬化で詰まったりする病気の総称、脳血管障害
「脳血管障害(脳卒中)」は、脳の血管が破れたり、詰まったりして、脳の働きに障害が起きる疾患です。日常生活に影響を与える神経学的な後遺症を残すこともあるため、日頃から十分な注意が必要です。今回は「脳血管障害」について解説していきます。
脳血管障害の特徴的な症状は?
脳血管障害は、脳の血管に伴う疾患です。血管が破れた場合や詰まった場合によってさまざまな病名に分けられ、症状も異なります。おもに以下の病気があります。
脳の血管が破れるタイプ
○くも膜下出血
くも膜下出血は、脳のくも膜下腔(くも膜と軟膜の隙間)に出血を生じて起こる病気です。動脈にこぶのようなものができ、それが裂けて出血。突然、強い頭痛に見舞われます。「バットやハンマーで殴られたような強烈な頭痛」を伴うのが特徴です。
■症状
・経験したことがないような激しい頭痛
・吐き気や嘔吐
・意識障害 など
○脳出血
脳出血とは、脳の中を走る細い動脈が破れて起こる病気です。脳の中で出血が起こり、脳を壊したり圧迫したりすることでさまざまな症状が現れます。
■症状
・頭痛
・目眩や吐き気
・意識障害 など
脳の血管が詰まるタイプ
○一過性脳血虚血発作
脳への血流が一時的に悪くなる病気です。片方の手足の痺れや麻痺、言語障害など、脳梗塞のような症状が現れて、短時間で消えていきます。一過性脳血虚血発作を起こしたあとに脳梗塞を発症することが多いので注意が必要です。症状は脳梗塞と似ています。
○脳梗塞
脳に流れる血管が詰まって酸素などが供給できなくなり、脳の神経細胞が壊死してしまう病気です。血管の詰まり方によって「ラクナ梗塞」「アテローム血栓性脳梗塞」「心原性脳塞栓症」の3タイプに分けられます。
■特徴的な症状
・左右どちらかの手足や顔が痺れる
・目眩がする
・嘔吐する
・呂律が回らない
・言葉が理解できない など
脳血管障害を引き起こす要因は?
くも膜下出血については、どうして急に血管が破れるのか、詳しい原因は解明されていません。脳出血は細かい動脈が破れる病気で、動脈硬化や高血圧が危険因子と考えられています。一方、一過性脳血虚血発作や脳梗塞などの血管が詰まる病気については、動脈硬化が代表的な原因です。ただし、脳梗塞の中でも心原性脳塞栓症については、不整脈や心臓弁膜症など、心臓の疾患が原因と言われています。
いずれにせよ血管に関わる病気のため、日頃から正常な血圧を維持して、規則正しい生活を心がけましょう。
脳血管障害を予防するための対応策は?
脳血管障害を防ぐためには、まずは動脈硬化の予防を心がけましょう。高血圧・喫煙・LDLコレステロールの高値を改善することが動脈硬化の予防につながります。特に高血圧の人は多くのリスクを抱えているために注意が必要です。食事の際は減塩を心がけてください。
○血圧を下げる
高血圧は動脈硬化につながる原因のひとつです。血圧は140/90mmHg未満を維持するようにしましょう。
・塩分の摂取を減らす。目安は1日6g未満
・適切なエネルギー量を摂る
・脂質を抑えた野菜中心の食事など、バランスよく食べることを心がける
○喫煙をやめる
喫煙はさまざまな病気のリスクを高めます。「たばこを吸わない」ということは、がんや虚血性心疾患(心筋梗塞)の予防にもつながります。
・たばこを吸わない
○LDLコレステロール値を下げる
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)やHDLコレステロール(善玉コレステロール)、トリグラセライド(中性脂肪)などが、正常の範囲から外れた状態を脂質異常症と呼びます。LDLコレステロールは140mg/dl未満が正常範囲と言われています。
・食物繊維を多く摂るように心がける
・加工食品やバター、ラードなどを控える
参考文献・出典など
■厚生労働省eヘルスネット脳血管障害・脳卒中
■手足のつっぱり痙縮情報ガイド
■メディカルノート脳血管障害
画像提供:PIXTA
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