【こんな言葉知っていますか?】地域連携パス
地域医療の豆知識
一人ひとりに最適な治療計画を策定。機能の異なる複数の医療機関が連携し、一貫した治療を行います。
地域連携パスの「パス」とは、クリニカルパス、つまり、プロジェクトを進めるための作業経路のことです。医療の世界では、時間軸に沿ってまとめた「診療計画書」を指します。病院では主に入院患者さんに対してクリニカルパスを作成し、患者さんやご家族、治療に関わる多職種の情報共有や、治療の標準化・効率化に繋げています。
その一方で、疾患によっては、1つの医療機関だけでなく、急性期病院、回復期病院、診療所といった機能の異なる医療機関が役割を分担し、連携して治療を行うことがあります。そうした場合、各医療機関が独自の方針で治療を行ったのでは、一貫した流れが確立せず、患者さんに不利益を与えかねません。そこで登場するのが「地域連携パス」です。地域連携パスは、複数の医療機関にまたがる共通の診療計画書のことで、施設の壁を越えた切れ間のない治療を可能にします。地域連携パスには主に「一方向型」と「循環型」があり、前者は急性期から回復期、生活期へと一方通行で流れる診療計画を、後者は急性期病院とかかりつけ医を行き来するような診療計画を指します。
西尾市民病院では
大腿骨頚部骨折の地域連携パスを、地域の5病院と運用しています。
当院では、主に大腿骨頚部骨折に対する一方向型の地域連携パスを活用しています。この連携パスは、急性期病院として手術や術後治療などを担う当院と、回復期を担う地域の5病院のほか、介護老人保健施設との間でも運用しているものです。実際には、まず対象患者さんに各病院の機能や特色などをお伝えし、転院先の病院を決定します。その後、連携する病院との間で、患者さんの基本情報や体の状態などを記した連携パス用紙と家族背景等を記した別紙を使って詳しく情報を共有し、診療計画に沿って治療を行うという流れです。
転院という手間はありますが、回復期病院では当院よりも長い時間、リハビリを行うことが可能です。今後も、用紙の記載項目や他院との情報共有の方法などを見直すことで、地域連携パスをより良いものにし、各医療機関の強みを活かしたスムーズな治療に繋げていきたいと思います。
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医療連携に大変関心があります。
というか、改善していただきたいです。
例えば、持病で糖尿がある場合、かかりつけ医と高血圧担当医と歯医者の治療連携。
高血圧治療薬で歯ぐきから血が出て問題になったと聞いたことがあります。
単に紹介するだけでなく、治療内容について共有し、患者に適した治療が行われる
ようにして欲しいです。