脳卒中リハビリテーション看護の専門ノウハウを活かす
人生を救い、生活を編み出す、
私たちの看護。
ダミーの原稿です。読まないでください。安城更生病院には、2名の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師がいる。そのうちの一人、足立佳美は、入職13年目。「急性期の看護やリハビリテーションの質が、患者さんのその後の人生を決める」という強い信念のもと、患者のQOL(生活の質)向上をめざしたチーム医療に取り組んでいる。
患者の生活再建の第一歩に寄り添う。
安城更生病院の足立佳美看護師は、平成15年の入職以来、ずっと神経内科・整形外科の混合病棟に勤務し、多くの脳卒中(主に脳梗塞:詳しくはコラム参照)患者の看護にあたってきた。同院に救急搬送された脳梗塞の患者の多くはICU(集中治療室)・HCU(高度治療室)で最先端の脳血管内治療法・薬物療法などを受けた後、足立のいる混合病棟へ移ってくる。生命の危機は脱したものの、再発や合併症予防のために細心の看護が必要な状態である。足立は一人ひとり違う病状や障害に合わせ、清拭や口腔ケア、体位交換などの介助を丁寧に行っていく。
看護を進めるなかで、足立がとくに意識するのは、生活援助と合わせて、ベッド上で手足を動かす運動などを進めることだ。廃用性筋萎縮(長期間使わない筋肉が萎縮する)を予防するために、可能な限り早くリハビリテーションを開始するのが、脳梗塞治療の基本なのである。足立のいる混合病棟では、医師をはじめ、看護師、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、栄養士、薬剤師などがチームを組み、充分なリスク管理のもと、患者の障害に適したリハビリテーションを慎重かつ積極的に進めている。「脳卒中の急性期治療では、入院してから最初の2週間のリハビリテーションがすごく重要だといわれています。この病棟が、患者さんの生活を取り戻す第一歩だと考え、チームのメンバーと協力して支援に取り組んでいます」と足立は言う。
認定看護師としてより良い看護をめざす。
今は患者の自立に向けてまっすぐ看護に取り組む足立だが、その転機となったのは、入職8年目に、看護協会の認定看護師教育課程に進んだことだろう。足立が選んだ領域は「脳卒中リハビリテーション看護」。平成23年、その第2期生として半年間、教育課程で学び、資格を取得した。この学びを通じ、足立は脳卒中の病態について医学的知識を深め、脳卒中患者に対する観察とアセスメント(患者の状態に対する評価)の力を徹底的に鍛えた。
病棟に戻ってからの足立は、学んできたことを還元するために、チームメンバーと積極的に意見交換し、脳卒中患者の看護を進化させてきた。たとえば、急性期では、患者の安静が基本。脳梗塞の患者は脳の血流を確保するため、急性期病院では一律、安静にして動きを制限するのが通常だった。しかし、患者にとっては体を動かせず、寝たままを強いられることには苦痛が伴う。なかには、体を動かせない不快感や不安感から、せん妄(意識障害が起こり、頭が混乱した状態)を悪化させる患者もいる。そこで足立は患者の代弁者となり、その問題について、エビデンス(科学的根拠)に基づく協議をチームで行い、症状に応じて医師の許可を得れば、安静の程度を緩和するという方針変更を実現した。「どの程度の安静制限が必要か、ということは常に悩みます。でも、安静を求めるがゆえに、患者さんを苦痛にしたり、筋肉や関節の機能訓練が後回しになることがないように、ケースバイケースで医師やリハビリテーションスタッフと意見交換しています。うちのチームは、良いことはどんどん取り入れていこうという、ポジティブな雰囲気があり、何でも相談しやすいですね」と、足立は話す。
脳卒中看護の専門ノウハウを地域へ。
足立は、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師として、そうした院外への連携にも目を向ける。「チームメンバーと一緒に、連携先の回復期病院を訪問し、見学してお話を聞くこともあります。次のステージのスタッフの方々と顔が見える関係を築き、患者さんの情報を正しく繋ぐことで、看護の質を継続させていきたいと考えています」。
さらに今後は、これまで培ってきた脳卒中リハビリテーション看護の専門知識や技術を、回復期・維持期のステージで活動する医療・介護スタッフに向けても発信していきたい考えだ。「すでに当院に併設されている介護老人保健施設に出向いて、職員を対象に脳卒中リハビリテーション看護に関する勉強会を開いたりしています。同じように、連携先の回復期病院や、在宅療養を支える訪問看護師の方々と一緒に学ぶ機会も作っていきたいですね」と、ビジョンをふくらませる。足立は、地域の貴重なリソースナース(専門性の高い知識・技術を持ち、看護実践を支援する人的資源)として、地域の看護師や介護士と力を合わせ、障害とともに生きる患者の人生を長い目でずっと支えていこうとしている。
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