がん——①がん医療の均てん化と集約化
厚生労働省が重点的に医療提供体制づくりを進めるテーマとして、5疾病・5事業があります。今回はそのなかで「がん」を取り上げ、均てん化と集約化の取り組みについて紹介します。
◎5疾病・5事業については、こちらをごらんください。
全国どこでも誰にでも質の高いがん医療を。
国民の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなるといわれています。がん医療を必要とする人が、全国どこでも誰でも質の高いがん医療が受けられることをめざし、日本全国で医療サービスなどの地域格差の是正を図る取り組みが進められています。このことを、「がん医療の均てん化」といいます。
今のところ、全国に、がん診療連携拠点病院が405カ所(都道府県がん診療連携拠点病院51カ所、地域がん診療連携拠点病院(高度型)51カ所、地域がん診療連携拠点病院298カ所、地域がん診療連携拠点病院(特例型)2カ所、特定領域がん診療連携拠点病院1カ所、国立がん研究センター2カ所)と、地域がん診療病院が46カ所、指定されています(2021年4月1日現在)。
小児・AYA世代(おおむね15〜39歳の思春期・若年成人)の患者についても、全人的な質の高いがん医療及び支援を受けることができるよう、全国に小児がん拠点病院を15カ所、小児がん中央機関を2カ所指定されています(2020年4月1日現在)。
都道府県がん診療連携拠点病院(各都道府県に1~2施設)は、質の高いがん医療を担うとともに、地域がん診療連携拠点病院に対して情報提供や診療支援を行ったり、都道府県内でがん医療に携わっている医師や看護師らに対して研修を行うなど、地域のがん医療のリーダーとして機能しています。
がん診療連携拠点病院を中心とした岐阜医療圏の取り組み。
がん診療連携拠点病院は、専門的ながん医療を提供するとともに、各地域のがん診療の連携協力体制の整備や、がんに関する相談支援、情報提供を行う拠点病院です。岐阜県では、岐阜大学医学部附属病院が都道府県がん診療連携拠点病院に指定されています。それに加え、岐阜医療圏では、岐阜県総合医療センターと岐阜市民病院が地域がん診療連携拠点に指定されています。
これらの拠点病院では、がんの種類や病態に応じて、手術療法、化学療法、放射線治療を効果的に組み合わせた集学的治療を実施しています。なお、拠点病院をはじめとした7カ所に、がんの病巣に集中的に高エネルギーX線を照射する直線加速器「リニアック」が整備されており、放射線同位元素などを用いた治療が可能な放射線治療病室は、岐阜大学医学部附属病院に整備されています。
- 都道府県がん診療連携拠点病院
- 国立大学法人岐阜大学医学部附属病院
- 地域がん診療連携拠点病院
- 岐阜県総合医療センター
- 岐阜市民病院
- リニアックが整備されている病院
- 国立大学法人岐阜大学医学部附属病院
- 岐阜県総合医療センター
- 岐阜市民病院
- 独立行政法人国立病院機構 長良医療センター
- 村上記念病院
- 岐阜県厚生農業協同組合連合会 岐北厚生病院
- 松波総合病院
岐阜医療圏におけるがん医療の集約化。
岐阜医療圏では、岐阜大学医学部附属病院、岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院ががんゲノム医療連携病院に指定されています。これらの病院では、がんゲノム医療中核拠点病院である医療機関(岐大:国立がん研究センター東病院、岐大以外:名古屋大学医学部附属病院)と連携し、遺伝子パネル検査による医療の提供、遺伝カウンセリングの実施やがんゲノム医療に関する情報提供などを行っています。
このほか、小児がん、希少がん、難治性がんなども、医療の集約化が進められています。岐阜大学医学部附属病院では、小児がん小児・AYA世代(おおむね15〜39歳の思春期・若年成人)のがん患者を支えるために、「小児・AYA世代のがん等生育医療相談支援センター」が設置されています。
なお、高度な粒子線治療については現時点では県内で実施できる医療機関はないが、中濃医療圏の木沢記念病院が導入を予定しています。
参考文献・出典など
■厚生労働省ホームページ「がん診療連携拠点病院等」
■岐阜県「第7期保健医療計画」
画像提供:PIXTA
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