介護施設における新型コロナウイルスの現実③
クラスター予防の課題と対策
介護施設でのクラスターパート3は、介護施設におけるクラスター予防の課題について考えていきます。
この数カ月で、介護施設での課題がさまざま見えてきました。そして改善するための対策も今後強化する必要があります。
各機関との連携
介護施設では感染者を隔離することは難しく、認知症の方はマスクの必要性などを理解しずらかったり、体調不良に気づきにくいといった高齢者の特性から感染が短期間で広がってしまう可能性があります。
そのため、外部機関との連携が必要となります。
病院との連携
感染した入居者が早期に入院できるように、かかりつけ医や提携病院と新型コロナウイルス感染症に対するルール作りが必要です。
事前に話し合いをしていたとしても、地域や近郊の感染状況によっては取り決め通りにはいかないことも想定しておかなければなりません。
自治体との連携
施設職員が感染した場合は、職員不足により十分な介護の提供ができなくなる可能性があります。
必要に応じて職員や専門家の派遣をしてもらえるようにサポート体制を調べ整えることが大切です。
また、早期発見・早期治療ができるように、自治体などによる検査体制の充実も必要です。PCR検査については各自治体で検査体制が違いますので、検査の流れや連絡方法などを確認しておく必要があります。
防護服・衛生用品の確保
介護施設では病院と違い、防護服やマスク、消毒薬などの物資が充実しているとは言えません。
平常時から必要数をチェックし備蓄を心がけるとともに、不足が予期される場合は自治体に確保の要望を伝えます。
また、防護服や消毒の代替品についても各施設で準備する必要があります。
職員へのサポート体制強化
クラスター発生時は入居者が最優先されますが、職員へのサポートも忘れてはいけません。
職員のメンタルケア
クラスターを起こしてはいけない、自分が感染してはいけないと、日々緊張しながら仕事をしている職員の負担は計り知れません。
施設内で対応するのが難しい時は、行政の相談窓口やメンタルクリニックなどへ繋げることが必要です。
感染した職員は自責の念に駆られる可能性が高いですので、安心して療養できる体制作り、ルール作りが大切になります。
職員や家族へのサポート
職員の中にはクラスターが発生したことで、家に帰ると家族に迷惑がかかるのではないかと考える人もいます。
そのような場合に、施設内宿泊や、外部の施設を活用できる体制があると安心です。
職員の配置の工夫
小規模な施設では全入居者を全職員でケアするところが多いですが、可能であればユニットに分けて担当職員を固定する、配置基準を緩和するなどの臨機応変な対応が求められます。
周囲との協力体制が不可欠
クラスターが発生してからでは十分な対策ができにくくなります。
いつどこでクラスターが発生するかわかりませんので、今からできる対策を講じる必要があります。
クラスター対策は介護施設内だけではなく、周囲との協力体制が重要です。
各種サポート体制、各種助成金などを活用しながら考え得る対策をおこなっていきましょう。
■参考サイト
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
■新型コロナウイルス感染症対策情報2(Q&A)
■高齢者介護施設における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に係る現状と要望(その3).pdf
厚生労働省
■高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について
画像提供:PIXTA
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