介護施設における新型コロナウイルスの現実②
クラスターによる影響
介護施設でのクラスターパート2は、介護施設でクラスターが発生した時の影響についてです。
感染者がひとりでも発生すると、施設全体に大きな影響を与えます。入所者や職員だけではなく、もっと広い範囲に差しさわりが出てきます。
入居者と家族のストレス増加
最初に影響が出るのが入居者とそのご家族への影響です。現在も不安や不便を感じている人も多くいますが、さらにストレスが増していきます。
面会制限によるストレス
面会を制限している施設でも窓越しに電話をしながら面会ができたり、人数制限や時間制限を設けて面会を許可している場合があります。
しかし、クラスターが発生するとこのような取り組みも不可能になります。
生活リズムの変化によるストレス
クラスターが発生すると、今までと同じ生活様式を維持することができません。
レクリエーションの時間がなくなったり、買い物や散歩ができなくなるなど、入居者にとっての楽しみや気分転換がなくなります。
認知機能や身体機能の低下
ホールや食堂に出ることが減るため、自室で過ごす時間が増えます。
そのため、刺激が減り認知機能の低下が起こりやすくなります。また、体を動かす機会が減るため、筋力低下により身体機能への影響も考えられます。
介護の質が低下
職員が感染した場合、出勤できませんので介護に必要な人材の確保が難しくなります。
介護業界は慢性的な人材不足で、平時でもギリギリの職員数で支えられている介護施設が多いのが現実です。通常でも介護施設の職員はギリギリの人数しかいません。
より少ない人数で介護をしなければいけませんので、職員の負担は想像を超えるものと言えます。その結果、介護の質は落ちてしまう結果になるのです。
実際にクラスターが発生した施設では、入浴の日数を減らしたり、食事の時間を変更したり、運動の時間をなくすなどの対応をせざるを得なくなりました。
施設や周囲への影響
人だけではなく、施設そのものや周辺地域への影響も出てきます。
施設への非難
クラスターが発生するとメディアを通して施設名が公表され、事実と異なるは違う噂の流出、施設への誹謗中傷が懸念されます。
一度流れた噂を払拭するのは容易ではなく、施設の信頼を保つことが難しくなります。
周囲の不安
クラスターが発生すると、職員の家族にも感染リスクが高くなります。
施設や職員への差別につながる可能性もあり、施設内だけの問題ではありません。
施設存続の危機
クラスターが発生すると、施設内の消毒等に時間と費用がかかります。新規の入居者を募集することもしばらくはできません。
このような状況が長く続くと、施設を継続していくことが難しくなり、閉鎖しなければならない状況になります。
高齢者介護の今後にも影響
超高齢化社会の日本において、介護施設はとても重要です。
クラスター発生により施設が減少することがあると、地域社会介護業界全体に影響が出てしまいます。
高齢者やご家族が安心して生活できるように、一人ひとりができる対策をし、施設での感染に対する理解を深める必要があります。
■参考サイト
公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
■新型コロナウイルス感染症対策情報2(Q&A)
■高齢者介護施設における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に係る現状と要望(その3).pdf
厚生労働省
■高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について
画像提供:PIXTA
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