新型コロナウイルス感染症対策と熱中症
パート①
熱中症の季節がやってきましたね。今年の夏は、熱中症対策と共に新型コロナウイルス感染症の予防も行う必要があります。
今回は、2回に亘って新型コロナウイルス感染症と熱中症の予防についてお話します。
パート1では、熱中症になりやすい人や環境、熱中症の症状と対処、新型コロナウイルス感染症対策をすることによる熱中症のリスクをお話します。
パート2では、具体的な熱中症と新型コロナウイルス感染症対策、医療崩壊を防ぐためにできることをお伝えする予定です。
熱中症になりやすい環境や人
熱中症になりやすい人や環境について説明していきましょう。
熱中症になりやすい環境(場所や状況など)
熱中症は、炎天下だけで起こるものというイメージがあるかもしれませんが、そうとは限りません。
もちろん、暑い中での運動中も熱中症は起こりやすい環境です。
しかし、梅雨の晴れ間や、突然に気温が上がり真夏の暑さに慣れていない時期、屋内でも熱中症になりやすいといわれています。
●気温が高い・湿度が高い
●風が弱い・日差しが強い
●照り返しが強い
●急に暑くなった
家の中でも熱中症になるケースが増えています。運動をしているわけではなく、家の中でじっとしていても室温や湿度が高くなると熱中症になります。
実際に、救急要請の37%は居住施設、次に道路や交通施設が25%となっており、室内での熱中症が注目されています。
熱中症になりやすい人
一般的に、高齢者や乳幼児は熱中症になりやすいといわれています。
しかし、今年は特に新型コロナウイルスの影響で、外出を控えることで自然に暑さに慣れていく機会が減り、夏に対応する身体に変わっていくことが難しいのです。
そのため、高齢者や乳幼児以外の人でも熱中症には注意が必要です。
熱中症の症状と対処
熱中症の症状
重症度別に熱中症の症状をまとめました。これらの症状は、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節の機能が働かなくなったりすると起こります。
身体に力が入らない、立ちくらみの自覚があるときには、危険信号です。呼びかけへの反応がおかしい、痙攣がある、まっすぐに歩けないなどに気がついたらすぐに救急車を呼びましょう。
Ⅰ度(軽症) | 現場で対応可能 | 立ちくらみ・筋肉痛・大量の発汗 |
Ⅱ度(中等症) | 病院へ搬送 | 頭痛・気分が悪い・吐き気・嘔吐・倦怠感・脱力感 |
Ⅲ度(重症) | 入院して治療 | 意識障害・痙攣・手足の運動障害・高体温 |
熱中症の対処
熱中症が疑われるときの一般的な対処方法をまとめました。
涼しい場所への移動 | 風通しの良い木陰やクーラーのきいた部屋などへ移動する。 |
服を脱がせて冷やす | 体内の熱を外に出す。うちわで仰いだり、首や脇の下、太ももの付け根を冷やしたりして体温を下げる。 |
水分と塩分の補給 | 冷たい水、スポーツドリンクを飲ませる。意識がはっきりとしない、吐き気がある場合は、すでに胃腸への影響が出ていることから無理に飲ませない。 |
医療機関へ搬送 | 意識がない、呼びかけへの返事がおかしい、自力で水分が摂れない場合は、すぐに救急車を呼ぶ。 |
新型コロナウイルス感染症対策をすることによる熱中症のリスク
例年の熱中症予防の状況との違いをお話します。
新型コロナウイルスの感染防止策を行っていると、次のような危険が考えられます。
マスクをしていると熱がこもりやすい
感染予防でマスクをしていると熱がこもり、熱中症の危険度が上がります。
マスクをしていると水分補給が面倒
マスクをしていると、マスクを取ってこまめに水分補給をすることが面倒になり、あまり水分を摂らなくなる可能性があります。
面倒でも水分補給はするように心がけましょう。喉が渇いていなくても少しずつ飲めるのが理想です。
換気を行うと適度な室温が保たれない
エアコンを使用していても、新型コロナウイルスの感染症対策で部屋の換気を行いながら屋内で過ごしていると、部屋の温度が快適に保たれず熱中症になる可能性があります。
エアコン利用と定期的に窓を開けて換気を行うバランスが重要です。
外出を控えることによって熱中症のリスクが高まる
外出の自粛で運動不足になると、汗をかいて体温を下げるという身体の準備が十分にできない他、水分を貯める機能を持つ筋肉が減り脱水状態になりやすいです。
本来なら外出して汗をかいて徐々に暑さに慣れていくところですが、外出の自粛もあり身体が暑さに慣れていかず熱中症のリスクが高まります。
■参考文献
●総務省消防庁「令和元年(5月〜9月)の熱中症による搬送状況」
● 全日本病院協会「熱中症について」
●DAIKIN 「上手な換気の方法~住宅編~」
● 厚生労働省「健康のために水を飲もう推進運動」
● 教えて!「かくれ脱水」委員会「STOP熱中症緊急提言」
● 厚生労働省「熱中症予防行動」
● 日本救急医学会「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言20200601」
画像提供:PIXTA
中日新聞リンクト編集部からのお願い
皆さまからいただくコメント・ご意見が、私たちの活力になります。より良いサイトづくりのため、皆さまの投稿をお待ちしておりますので、ぜひ下記投稿欄からお気軽にコメントください!
(各病院への診療に関する質問・相談等はこちらではお答えできませんのでご了承ください)
コメントを残す