心を生きのびよう②―ある臨床心理士のつぶやきー
第2回 閉塞感を「見る」こと
前回はこちら>>心を生きのびよう―ある臨床心理士のつぶやきー①
朝の気分が大事
この状況に心まで元気をなくしてしまわないために、朝の気分は大事です。
起きてすぐにテレビのニュースを見るのはやめて、好きな音楽や、自分の気持ちが落ち着く音を聞いてみましょう。
この新型コロナウイルスの大波に心までさらわれないために。
閉塞感が蔓延?
デパートが営業の幅を広げ、電車や地下鉄は朝夕の乗客が増えてきました。とはいえ、「よかったね」という人はあまりいなくて、第二波を恐れる気持ちのほうが多いように見えます。
“人と近寄るのは怖い”という気持ちや、“いつでもマスクを着けていないと危険だし、何か言われそう”という思いが、知らず知らずのうちに私たちを縛っている…そんな閉塞感といえるようなものが存在しているのではないでしょうか。
差別~何かを責めると楽になる
このウイルスの感染者、その家族たちへの差別が熾烈な場合があり問題になっています。とくに人々の距離が近い、どちらかというと狭いコミュニティにおいて、その人たちが住んでいられないくらいの差別にまで至ることもあります。
その差別の原因として、蔓延する閉塞感と、同調圧力があるとみています。
人はストレスがたまると、それを何かの形で吐き出して、自分の健康を守ります。よく「ため込んじゃいけないよ」って言いますよね。ため込んでしまうと、その結果、体に不調が出るということもあるのです。
今回の差別の場合は、恐怖から、という理由が大きいですが、一方で、気づかないうちにためている閉塞感がはけ口を求めるあまりに差別という行動となっているとも考えられます。
同調圧力のgoodとbad
日本は同調圧力が強いといわれます。
人と違うことをすることに抵抗感を感じてしまうとか、周りと同じように行動することが暗黙のうちに求められるということですね。
混雑していてもきちんと並んで待てることとか、今回、ほとんどの国民がロックダウンなしに密集を避けることができた、とか。これらは日本文化に含まれる、同様圧力が大きいことの良い面でした。
反面、同調しないといけないという気持ちから行動を制限していると、どうしてもストレスを伴った閉塞感が強くなってしまいます。これはbadな側面ですね。
見えると、楽になる
みなと同じことをするかどうかが問題なのではなく、私たちの“恐怖”がどこにあるのかが、見えると楽です。
「恐怖が見えたら怖いんじゃない?」そうでもないのです。相手が見えないほうが怖さが増します。自分が恐れているのが、感染して病気になることなのか、地域で一人目の感染者になってしまうことなのか、これを考えておくだけでもいいんです。
そして、たまには、月や星を見上げたり、風を感じたりしてみましょう。そうすることで、「自分」というものと少し距離を置くことができて、ぴったりくっついていた閉塞感に、穴をあけることができるかもしれません。
画像提供:PIXTA
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