医療崩壊って、「何」が崩壊するの?(1)
今一度、正しい情報を確認しよう。
医療崩壊という言葉を、毎日のように耳にするようになりました。
医療崩壊の定義はいろいろありますが、新型コロナウイルスとの闘いにおける医療崩壊とは、治療を必要とする患者に十分な治療を提供したくても、できない事態に陥ることです。
では、医療崩壊とは、具体的に「何」が崩壊するのか。シリーズで追っていきたいと思います。第1回は「人」にフォーカスします。
未知の危険に直面する医療従事者たち。
医療崩壊で真っ先に取り上げるべきは、医療の最前線で奮闘する医療従事者たちです。
ご承知のように、病院の医療はさまざまな専門職から成り立っています。医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師、管理栄養士. 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、介護士、そして事務職など。どの職種が抜けても、適切な医療を提供することはできません。しかし、これらの人々が、今、感染の危険にさらされています。たとえば、新型コロナウイルスに感染していると本人も気づいていない患者が、交通事故やほかの病気で救急搬送されてくれば、そこから一気に感染は広がります。医療従事者たちは日夜、未知のウイルスに対する不安や恐怖を感じながら、ただひたすら「人を救う」という使命感を持って闘っているのです。
過重労働の危険にさらされる医療従事者たち。
医療従事者を取り巻く危険は、感染だけではありません。過重労働の負担が重くのしかかっています。
『STOP!コロナウイルス 理性を働かせ、正しく理解しよう』で述べたように、日本の人口1000人当たりの医師数は、医療危機にあるイタリアよりもさらに下回ります。その少ない医師たちの負担を少しでも軽減できるように、看護師をはじめとしたコメディカルスタッフが懸命に支えているのが、日本の医療現場です。
しかも、感染症患者の治療には多くの医療従事者が必要ですし、人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」の管理には、熟練した技術を持つ専門職が必要です。重症患者が増えれば増えるほど、治療に携わる医療従事者の負担も倍増します。
差別や偏見にさらされる医療従事者の家族たち。
忘れてはならないのは、医療従事者の家族の存在です。医療従事者一人ひとりは、地域で暮らす生活者であり、家に帰れば、大切な家族がいます。しかし、院内感染が発生した病院に勤務していると、その家族が職場や学校、保育園などで、差別を受けたり、冷たくあしらわれることがあるといいます。さらに、地域の専門病院である感染症指定医療機関に勤務しているというだけで、そういう被害にあうケースもあるそうです。こうした「コロナ・ハラスメント」ともいうべき偏見や差別は断じて許されません。
また、家族への感染を心配し、自宅に戻らず働き続ける人もいます。ただでさえ大きな身体的なストレスに、こうした精神的なストレスが加わることにより、医療従事者がバーンアウトしてしまうのではないかと危惧されます。
医療従事者に感謝や応援の気持ちを届けよう。
欧米では、医療従事者に感謝と敬意を示し、拍手を送る取り組みが広がっています。日本でも、そうした取り組みが始まりました。
たとえば、茨城県庁では4月9日から、平日正午の30秒間、職員たちがそれぞれの職場で拍手を送る活動をスタート。福岡市役所も4月10日から、毎週金曜の正午に医療現場で奮闘する関係者に感謝の拍手を送る「フライデー・オベーション」と銘打った取り組みを始めました。
最前線で懸命に闘う医療従事者たちを、みんなで支えていきましょう。
画像提供:PIXTA
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コロナ受入れは公的病院でしかやっていない事を最近知った。あなた方もそれを知らずに、「医療崩壊」などと記事にしているんだろう?
俯瞰すれば、医療崩壊なんかじゃないじゃないか。