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更新日:2022年6月21日 29PV
LINKED通信

【test】もし身近な人の具合が急に悪くなったら?知っておきたい救急医療の基礎知識。

記事のテーマ

いざというときに備えて、救急医療について理解を深めておこう。

急な病気やケガをしたとき、頼りになるのが救急車です。24時間365日、いつでも「119番」に電話すれば、消防署から駆けつけてきてくれます。では、どんな場合、救急車を呼ぶべきか、そして、地域の救急医療体制はどうなっているのでしょう。救急医療の基礎知識を学んでおきませんか。

アイタタタ…、ちょっと、誰か…。

健康さん一家の日曜日。2階で大きな物音がしました。千寿(ちず)さんと丈夫(たけお)さんが驚いて2階に駆け上がると、息子の力(ちから)さんが部屋で倒れてうずくまっていました。本棚の上段に並べていた本を取ろうとして、踏み台から足を踏み外し、倒れた拍子に、本棚の角で頭を強く打ち、頭から血を流していたのでした。「大丈夫?」二人の問いかけに、力さんは「あぁ、なんとか…」と力なく答えましたが、めまいがするようで、起き上がろうとしても、ふらついて倒れ込んでしまいます。

「これは、すぐに病院に連れていかないと」と千寿さん。ただ、救急車を呼ぶべきか、車で運ぶべきか、二人は判断に困ってしまいました。「頭を打ったぐらいで、救急車を呼んでいいかなぁ…」と、丈夫さんは慎重です。というのも、少し前、同居している父の具合が悪くなり、慌てて救急車を呼んだところ、たいしたことなくて、随分恐縮してしまったことがあったからでした。

こんなとき、どうすればいいでしょう。緊急性が高い場合は迷わず救急車を呼ぶことが大切です。しかし、その一方で、救急車や救急隊員の数は限られているので、安易な救急要請は避けたいところです。救急車を呼ぶ前に、緊急性を確認する方法を確認して起きましょう。

救急の対処法(1) 救急搬送を迷ったときに役立つ、全国版救急受診アプリ「Q助」。

急なケガや病気をしたとき、救急車を呼んだが方がいいか、今すぐ病院に行った方がいいかなど、判断に迷うことがあります。そんなとき、緊急度に応じた必要な対応を支援するのが、全国版救急受診アプリ「Q助」です。

該当する症状及び症候を画面上で選択していくと、緊急度に応じた必要な対応(「今すぐ救急車を呼びましょう」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」または「引き続き、注意して様子をみてください」)が表示される仕組みです。救急車を呼ぶ必要がある場合は、その画面から119番に誘導してくれます。

救急の対処法(2) 救急車を呼ぶほどではない場合は、「救急医療情報センター」へ電話相談も可能。

「救急車を呼ぶほどではないけれど、すぐ治療を受けたい」とき、「医療機関を紹介してほしい」ときは、お住まいの都道府県の「救急医療情報センター」に電話することもできます。 オペレーターが「今、診てもらえる医療機関」を案内します。

電話番号は、各都道府県のホームページをご覧ください。

救急の対処法(3) 子どものケガや病気は、電話相談窓口「#8000」へ。

病気やケガをしたのが、子ども(おおむね15才未満)の場合は、電話で相談できる窓口もあります。それが、全国同一の短縮番号#8000です。 こちらに電話すると、お住まいの都道府県の窓口に自動転送。小児科医師・看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けられます。(実施時間帯は自治体によって異なります)

また、総務省では、子どもに限らず、急なケガや病気をしたとき、救急車を呼ぶべきかどうかなどを相談できる電話相談窓口として、救急安心センター事業(♯7119)を進めています。♯7119を導入する自治体は年々増えており、総務省は日本全国どこでも#7119につながる体制づくりをめざしています。

そうだ、救急受診アプリ「Q助」で緊急度を確認しよう。

丈夫さんは以前、父が具合が悪くなったときに救急車を安易に呼んでしまった反省から、全国版救急受診アプリ「Q助」をスマホにダウンロードしていました。今回は、そのアプリを使ってみることしました。

アプリを開いて、各症状に進む前の質問に答えた後、「年齢」や「頭のけが」を選択すると、さまざまな症状が出てきます。その中から、力さんに当てはまる項目として、「フラフラしていますか?(または)めまいがありますか?」を選択。すると、次の画面で、「緊急度が高いと思われます。今すぐ119番に電話してください」とのメッセージ。この判定を見て、丈夫さんは確信をもって救急車を呼ぶことができました。

さて、丈夫さんが、電話で消防署の人に住所や症状を説明している間に、千寿さんは病院を受診するための準備を始めました。ただ、急なことで慌ててしまい、どんな持ち物を準備すればいいか、オロオロしてしまいます。 救急診療に持っていくものを押さえておきましょう。

救急の対処法(4) 救急車が来るまでに用意しておくこと。

救急車が到着するまでに準備したものをピックアップしてみました。つい見落としがちですが、その日のうちに帰宅することも考えて、本人の「履物」も忘れないようにしましょう。 また、緊急時に備え、健康に関するものは日頃からすぐ持ち出せるようにまとめておくと安心です。

今回は救急車を頼んだけど、気軽に呼ぶのは遠慮しないと…。

救急車が到着し、近くの救急病院の脳神経外科を受診。検査の結果、幸いにも脳内出血はなく、その日のうちに家に帰れることになりました。千寿さんも丈夫さんもホッと胸をなでおろしました。

この経験を通じて、千寿さんは、すぐに救急車が来てくれて、病院を受診できたことをとてもありがたいと感じました。その一方で、病院の救急外来が多くの患者さんであふれかえっているのを見て、気軽に救急車を呼んだり、救急外来を安易に受診してはいけないなと感じました。

救急の対処法(5) 救急医療(※)を正しく利用しよう。

消防庁のデータ(2018年)によると、救急搬送された人の約半数が「軽症(入院加療が必要ないもの)」だといいます。この「軽症」のなかには、骨折などにより動けない人が救急車を呼んだ場合なども含まれており、すべてが不要不急の救急要請というわけではありません。その一方で、「どこの病院に行けばよいか分からない」「便利だから」などの理由で、救急車を安易に利用するケースもあるそうです。

さらに昨今は、高齢社会の進展に伴い、高齢者の救急搬送も増えています。救急車を呼ぶ人が増えると、本当に救急車を必要としている現場へ救急車が向かうまでに時間がかかることになります。みんなの命を救う救急車だからこそ、一人ひとりが適正利用を心がけることが大切です。

また、救急外来は24時間365日、急な病気やけがの患者を断ることなく診療しています。そのため、救急の現場では医師の労働時間が長く、その過重労働が問題になっています。救急医療体制を健全に維持していくために、コンビニ受診など安易な利用方法をしないことが大切です。

※救急医療は、思いがけなく突然に発生する病気、けが、中毒などの患者を適切に救助して病院へ搬送し、迅速に必要な手当てを行う医療全般を指します。

救急医療は、私たちの命を救う大切な仕組み。この機会に、地域の救急医療について学んでおこうか。

千寿さんの考えを聞いて、丈夫さんも共感しました。「そういえば、コロナ禍で、救急医療の危機の報道もあったね。重病でも、受け入れ先の病院が見つからないケースも随分あったようだ。私たちの命を救うための救急医療だから、みんなでしっかり守っていかないとね」。

千寿さんも同意見で、「そうね。そういえば、救急医療については今まで深く考えたことがなかったかも…。私たちの地域に救急病院はどれくらいあって、患者の受け入れ体制はどうなっているのかしら。一度、調べてみましょうか」と話しました。

救急医療体制は、地域ごとに構築されています。その基本的な体制について、知っておきましょう。

救急の対処法(6) 地域の救急医療体制について知っておこう。

救急医療は、思いがけなく突然に発生する病気、けが、中毒などの患者を適切に救助して病院へ搬送し、迅速に必要な手当てを行う医療全般を指します。日本では救急患者を診療する病院として、各地域に救急指定病院が整備されています。それらの救急指定病院が役割分担しながら救急患者を受け入れられるように、患者の重症度に応じて、初期(一次)、二次、三次の救急医療機関が対応する体制が構築されています。

■初期(一次)救急医療機関

主に入院治療の必要がなく、帰宅可能な患者を受け入れる医療機関です(休日夜間急患センターなど)。

■二次救急医療機関

二次医療圏単位で、圏域内の複数の病院が当番制により、休日・夜間において、入院治療を必要とする重症患者を受け入れます。二次救急医療機関は、各都道府県が進める医療計画にもとづいて、都道府県知事が告示・指定します。

■三次救急医療機関

二次救急医療機関では対応できない重症および複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる医療機関。三次救急を担うのは「救命救急センター」と、高度な診療機能と設備を備えている「高度救命救急センター」。高度救命救急センターは交通事故による全身のけが、全身熱傷、指肢切断、急性中毒など、とくに重篤な救急患者を対象としています。

※各地域の救急医療体制については、お住まいの都道府県のホームページをご覧ください。

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画像提供:PIXTA
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