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新型コロナウイルス対策特集
中日新聞LINKED〈発〉

地域医療は、重症患者の入院を優先する体制へ。

今一度、正しい情報を確認しよう。

2020年4月1日|440 VIEW

これまで日本の地域医療は、誰でも自由に病院へアクセスして、必要な医療を受けられました。でも、新型コロナ感染症患者に対応しながら、医療崩壊を食い止めるために、地域医療の体制は大きく変わっていくことが予想されます。

1 もしも新型コロナウイルスに感染したら、入院先は?

新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく指定感染症です。そのため、基本的には、感染症指定医療機関における感染症病床に入院します。新型コロナウイルス感染症が広がってきた初期は、入院治療の必要のない軽症者も含めて、感染症病床に入院していました。
感染症病床とは、室内の気圧を外部の気圧より低くすることでウイルスが室外に漏れないようにした陰圧隔離病室です。しかし、感染症病床は全国に約1800床しかなく、患者数の増加に到底対応できません。

2 重症者から優先して入院できる体制に。

そこで現在は暫定的に、院内の感染予防対策を施した上で、一般病床、療養病床、精神病床または結核病床の病室に入院できるように定められています。しかし、それでも、入院を必要とする患者をカバーすることはできません。そこで、入院の対象を限定して受け入れ、症状が回復してきたら、速やかに退院して自宅療養する方向に変わっていくと考えられます。

3 軽症者は、自宅や施設で療養。

軽症者や無症状の感染者は今後、自宅や施設で療養することになります。そのため、いくつかの自治体で、軽症や無症状の感染者を一時的に受け入れる施設を設置する計画を進めています。今後、こうした対策が非常に重要になっていくでしょう。

4 厚生労働省が求める地域医療体制は…?

厚労省は、新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制の整備について、下記のように示しています(3月19日・一部抜粋)。

  • 新型コロナウイルス感染症だけでなく、その他の疾患への対応も考え、地域全体の医療提供体制について、検討・整備を進める。
  • 基本的には、都道府県で病床の確保や患者の受入れ調整などを行う。
  • ECMOが必要な患者については、都道府県を超えた広域搬送を行う。
  • ある特定の都道府県で短期的に感染者が大幅に増大する場合も、都道府県を超えた広域搬送を行う。
  • 専門性の高い医療従事者を集中的に確保するとともに、新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関を各都道府県に設定する。
  • 地域の医療資源の全体像を踏まえて、医療を必要とする人に適切な医療を提供できるような体制整備を行う。

5 患者を振り分ける司令塔(トリアージ機能)が必要。

厚労省が示す地域医療体制の方向性でもわかるように、新型コロナウイルス感染症の患者をスムーズに入院させたり、広域搬送したりしていくには、地域医療全体を見据え、患者の容体に応じて受け入れ先を調整する司令塔が必要です。
鳥取県ではその目的で、「入院医療トリアージセンター」を鳥取県庁内に設置。トリアージセンターが保健所に代わり医療機関と調整を行い、感染者の入院先を症状やリスクに応じて振り分けていく体制を整えました。こうした体制づくりが、その他の自治体でも必要になっていくと考えられます。

 

 

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